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第3話 魔法界の森進行

 私は倒れてしまったので、目が覚めたら見覚えのない天井が最初に見えた。

 起き上がってみると、異様に大きくなった魔力を感じた。

 その数が多かったので私は気になってそっと出てみることにした。扉までゆっくりと近づいてそっと開けた。


 開けると明るい日差しと共に、昨日まで中学生くらいの見た目だった獣人達が大人になって互いに驚いて騒いでいた。

 その光景に当然ながら私は驚いてうろたえてしまった。

 それで腰を抜かして座り込んでしまうと、ウルガが心配して来てくれた。


「アスタリア様!どうかなさいましたか!」


 その声に安堵した私は一気にそっちに顔を向けると、さらに驚いて今度は口をパクパクさせてしまった。

 そこに立っていたのは若返って180cmくらいのイケメンオヤジになったウルガだった。

 元々腰も曲がってそろそろ死ぬかなってくらいのおじいさんだったのに、見違えるほどに若返って変わってしまった。


『うふふ。そろそろ説明しますが、これは魔物側特有の進化です。条件が揃うことで起きる現象で、大魔法使いも人間ではないので不本意でしょうが進化可能です』


 今笑ってから話したよね?


『なんのことやら』


 絶対に馬鹿にされたけど、どうやらゲームとかでモンスターが変化や強化されるのと同じような感じで変わるらしい。

 実際、このウルガ達は私の魔力を込めた契約で進化して人狼(ウェアウルフ)になった。

 その姿はほぼ人間で、力を使うときだけ狼の部分を出せるようになったらしい。


「理解できたから心配いらない。生後2日目だからまだ勉強不足なのよ」


 私は頭を押さえて自分が今も驚いてるのを隠しながらそう言った。

 それに対してウルガはしゃがんで手を差し伸べた。


「いくら才能があって最強でも、生まれて間もないのなら知らないことがあるのは当然です。これからは俺が支えるから安心してください」


 色々と分かった上でそんなことを言うとは…

 こいつは昔からこんなイケメンだったのだろうか。あまりにもかっこよくて惚れちゃったじゃん!

 てか、俺が支えるからって告白かな?私には告白にしか聞こえなかったよ!マジで恥ずかしい。

 頭の中で混乱して赤面しながら私は彼の手を取った。そして、立ち上がらせてもらった。


「ありがとう。私はまだまだ子供だけど、頼りにしてるから」


 私は顔を伏せながらそう言った。

 すると、このクソイケメン君は私のあごをグイっと上げて、その赤面した顔を見ながら私の心臓をバクバクさせる台詞を吐いた。


「ふふっ、頼りにしてるのはこちらの方です。それと、俺は永遠にあなた様のものですから、あなた様が望む限り俺はお側に居続けます」


 いやいや!何この私の好みにドストライクなイケメン君は!こんなの赤面しないわけないじゃん!目を合わせるのも大変だわー!

 と、こんな感じでウルガのせいで混乱しながら彼を私のものにした。

 別に彼氏にしたわけじゃないからね!こんなイケメンオヤジが好きとか無いから!中身が好きなだけだから!



--------------------



 うん。なんかごめんなさい。


 あの後暴走はやめろとマキナに言われて反省した。

 今は落ち着いてるから進化して驚いてるみんなも落ち着かせるために仕事を与えることにした。

 ついでにこの村のルールも決める。


「みんなー!私のところに集まってー!」


 大声で声をかけるとみんなが私の小屋の前に集まってきた。

 みんなまだ挙動不審だったりするが、ここで私が落ち着いてる姿勢を見せて大人しくさせる。

 当然だけど、隣にはウルガが立っている。


「突然だけど、このケイオス村を私は国にしたいと思ってる。いきなりこんなことを言われても出来るとは思えないだろうけど、私はみんなの力があればできると思ってる」


 私の堂々とした姿勢で、これが冗談ではなく本気であることを見せた。

 その時、みんなが真剣な顔で私の話を聞き始めた。


「まず、国にまで発展するさせるために規模を大きくする。そのためにみんなには森の木を切って広げて欲しい。柵はお母さんには悪いけどもういらないから撤去してね」


 この考えと指示を聞いて全員がうなずいてくれた。

 私はこの調子で次々と話していこうと考えた。


「みんなが開拓してくれてる間に私は住人を増やすために近隣の村とかに話を持ちかける。それと、この辺にも主の魔物(ボスモンスター)がいるらしいけど、それは私が処理する」


 さすがにこの辺のボス狩りにはみんな動揺した。その強さはなかなかのもので、簡単には倒せないらしい。

 進化した魔物が束になっても負けてしまったそうだ。

 でも、私なら余裕なんだよね?


『はい。主の魔物(ボスモンスター)程度なら大魔法使い1人でも簡単に倒せます』


 マキナがそう言うならそれも私がここに国を設立するための布石に出来るだろう。

 簡単に勝てるなら私が怖がる必要はない。

 だから余裕たっぷりにみんなが安心できる言葉を並べた。


「心配する必要はない。私はアルメリアの娘なのだからね。それでも心配するなら私の守護魔法とウルガも信用できないということになる。そんなわけないよね?」


 一部が脅しみたいになってるけど、一応そんな感じで言ってみると動揺はみるみるうちに静まった。

 まぁ、隣のウルガが威圧してたらそりゃ色々と静かになるだろうけどね。

 でもこれで力試しに行けるようになった。今のところ戦闘は全然してないから、その点では自分の強さは未知数だ。それを確認できる。


 さて、今度はここのルールを発表する番だ。それでここの方針がある程度決まる。

 これはとても重要なことで、選択をミスれば配下の命を奪わせる結果にもなりかねない。

 だから、私個人の趣味とかで変なルールを作るわけにはいかない。慎重にやらないと。

 ここで私は色々と考えていて、そのせいで一時の沈黙が流れた。その中でみんなは静かに次の言葉を待った。

 それに気づいた私はこの子達なら平気だろうと思って簡単なルールを4つ出すことにした。


「それじゃあ今度はここにおけるルールを制定するけど、これは絶対に守れと言うわけじゃなくて、ある程度守ってくれればいいの。このルールのせいでみんなが死ぬことを私は望んでないから」


 そのルールの発表に村の中で異様な緊張感が流れた。

 元々ここには軽いルールがあったのだろうが、それはおじいさんの時のウルガが決めたものだろう。

 でも、今度ルールを決めるのは大魔法使いの一角〈蛇のアスタリア〉なのだ。ルールだけで警戒されるのも仕方ない。


「1つ目、配下同士の殺しを禁じる。2つ目、私がやられたら生きることを最優先にして逃げて。3つ目、私に意見したいことがあれば好きに言って。4つ目、敵意ある人間は容赦なく殺せ。この4つよ」


 普通のやつなら誰でも守れるルールを私は提示した。

 これには人狼達も拍子抜けだったようでぽかんとしてしまった。

 だが、ウルガの拍手でみんな我に戻って彼に続いて拍手を始めた。

 それは私の用意したルールを受け入れてくれたことを意味する。

 私は自分のルールが受け入れられたことに安堵した。

 ここまで来れば後は話をまとめておしまい。


「みんな、ありがとう。それじゃあ、早速仕事に移るよ。道具の用意や人員の配置はウルガに任せるよ。私も森に行くからさ」


 私がそう言うとみんなが頭を下げて「よろしくお願いします」と言ってきた。

 私は照れくさそうにしながら後をウルガに任せて、さっそく食料を持って森に入ることにした。

 ここのボスを狩るために。




--------------------




 私が森の奥に進むと普通に主の魔物(ボスモンスター)が不自然な広場で待ち構えていた。

 それは巨大蜘蛛(キングスパイダー)と言ってまあまあ強いらしい。マキナの判断でも油断はするなと言われた。


「さっそくいい実験台に会えてよかった」


 私は一応マキナの判断を頭の隅に置いて戦闘を開始した。

 まずは相手に攻撃させる。魔法のコピーや魔法の作成のために必要なことだ。

 いきなりやられることに気をつけながら近づく。一定範囲に入ると毒液で攻撃してきたけど、それは《魔力毒素》を(まと)うために手に入れた毒耐性で足りた。

 ただ、私の毒より少し強かったので軽く頬が溶けた。少し痛かったけど、お陰で《毒完全耐性》と《魔力強毒素》の取得に成功した。おまけに《自己再生》も取得した。


 この歩くという行動だけで私は蜘蛛の中距離攻撃に対応できるようになった。

 それを相手も理解したらしく、素早く移動して背後から足で刺す攻撃に切り替えてきた。その俊敏な動きの正体も見破って私は自分のものにした。

 刺されそうになったけど、瞬時に取得した《速度上昇付与》によって楽々避けた。

 それに苛立った巨大蜘蛛(キングスパイダー)は魔法を発動して自分の糸を自在に操って攻撃してきた。糸は鋼鉄みたいな堅さでワイヤーのように使ったり、まとめて相手を絞め殺すのに使おうとしてきた。

 それも魅力的に見えた私はコピーしようとしたけど、固有魔法らしくてコピーも作成も出来なかった。

 まぁ、蜘蛛なんてそんなものだろうと思った私はちょっと楽しかったけど、手を合わせてから《魔力吸収》で相手の魔力を奪って自分のものにした。それだけで相手は息絶えた。


 その理由は魔力にある。この世界では体内の魔力が尽きれば魂を体に留められなくなってあの世に行く。

 つまりは魔力は魂をつなぎ止める糸や鎖の役割をしているということだ。

 大抵は自分の魔力の容量が少なくて相手の魔力を全て盗るなんて出来ないが、大魔法使いはその容量がほぼ無限で大量に入れることができる。

 それが今回得た勝利の手順だ。この程度ならこれでも勝てるが、相手も大量の魔力を作れるならこの戦法は意味をなくす。


「さて、次のお客さんね。マキナ、村の周辺の主の魔物(ボスモンスター)の数を教えて」


『村を中心に全方位3km圏内に6体を確認。全て5階級の真ん中、危険級(デンジャー)の魔物です』


 私はその報告を聞いてすぐに近くに来ている次のボスを狩りに行った。

 ちなみに、この世界では魔物は5段階に分けられている。それを表示すると雑魚級(セーフ)普通級(ニュートラル)危険級(デンジャー)災害級(ディザスター)厄災級(カラミティー)の5つである。

 大魔法使いの私は災害級(ディザスター)であるが、その上の厄災級(カラミティー)はこの世界にたったの10体しか生まれないらしい。ドラゴンや一部の大魔法使いや大魔王がそこに入るらしい。


 私は少し歩いて次の獲物を見つけた。

 さっきと同じように不自然にできた広場にサイクロプスがいた。そいつはその巨体で食事をしている。

 私がちょっと足音をたてると、その巨体は私の方を向いて立ち上がった。


「シュル。ちょっとは楽しめそうかな」


 私は一目巨人(サイクロプス)を見下してゆっくりと歩み寄った。

 さっきの蜘蛛で相手のレベルは理解してる。チート無しで勝つのはほぼできないだろうけど、今度は蜘蛛の足を一本使って作った剣がある。作者はマキナだ。


 私は魔法をなるべく使わないで戦う方法を学ぶために、今度は剣と付与魔法で戦うことにした。

 サイクロプスは私が敵意を持って近づいてることに気付いて戦闘態勢に入った。そして、一気に棍棒を振り下ろしてきた。

 その攻撃を私は余裕で避けた。《速度上昇付与》があればデカブツの攻撃は当たる可能性が低くなる。

 動きのトロイ相手は棍棒を再度振りかぶるのにも時間がかかる。その隙に一気に攻めて棍棒を切った。


『アスタリア様、《硬度上昇付与》を取得しました』


 マキナがそう言った時にはサイクロプスがバランスを崩して倒れていた。棍棒を持ち上げようとした分の力が無駄になったせいで倒れたようだ。

 ちょうどいいと思った私は《魔力強毒素》を《猛毒付与》に乗せて剣にかけた。

 それでサイクロプスを切りつけて戦闘不能にした。猛毒は魔力であるから一気に体を駆け巡ってサイクロプスを二度と立てなくした。


「これで2体目、蜘蛛と合わせて素材になりそうだから後で回収するとしようかな」


 もうこれで終わったと思っていた私は油断してサイクロプスに背中を見せた。

 そしたら、《軽毒耐性》を持っていたようで最後の力を振り絞って握り潰そうと手を出してきた。

 その手に掴まれて握り潰されそうになったけど、殺される前に相手の方が先に息絶えてくれた。

 短時間で起こったことだったので、私には何が起きたのか最初は分からなかった。



 危険級(デンジャー)を甘く見た私のミスで軽く骨折したから、再生のために一旦休憩を取ることにした。

 私は根に持つタイプだから、サイクロプスの死体を睨みつけて爪を噛みながら再生を待った。絶対に許さない。

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