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第11話 大蛇の後処理

 奴をやったと思っているメンセル達は浮かれていた。

 そこに隔離された空間を切り裂いて骨龍バーレイドが姿を見せた。


「我は何度でも蘇るぞ!小童(こわっぱ)!」


 いきなり襲ってこようとしたので、烏天狗が20人前に出て結界を張った。

 詠唱をすることで強度が高くなるタイプだが、奴の尻尾や爪の物理攻撃はあまり強くてすぐに破られそうだった。

 だから、レディスから離れてメンセルが包丁で攻撃しに行った。


「しつこい奴は大っ嫌い!」


 そう言いながら奴の首を切り落とした。

 そこに追加でもう一度奴の周りだけ異空間にした。

 そして、首と体を完全に切り離した。

 それなのに奴はアンデットだからなのか首だけで話した。


「無駄だ!貴様の攻撃では足りん!」


 そう言われてイラっとしたが、上空にデカい魔力を感じて時間稼ぎをする程度にすることにした。

 そのためにこの首と話すことにした。


「ねぇ、何の目的でうちを目指してたのぉ?」


 そう聞かれた骨龍バーレイドは目を閉じて考えた。

 いや、自分が食った元のバーレイドの記憶を探った。

 そこで彼が姿をちゃんと見せない謎の人物と約束している様子が見えた。

 そこで彼がその人にアスタリアを殺せば魔王にすると言われたのが見えたか、それをメンセルに話そうとした。


 その瞬間、上空から流星のごとく何かが落ちてきた。

 それは着地点を骨龍バーレイドの頭にしていたので、着地と同時にその頭を粉々に吹き飛ばした。

 その場所は落下物によりへこんだが、そこには魔王の魔力があった。

 ドーンという爆音と共にそいつが地に降り立った。

 へこんだ地面の中央には全生物が恐れる存在、魔王デルタが立っていた。

 デルタは降りてきて早々に目の前にいる小娘が新たな魔王だと気づいた。


「ふむ、貴様が新星か。悪くない。魔王にするには惜しいくらいに才がある。出来れば…」


 デルタは一目見ただけでメンセルに力があって使えると判断した。

 だからスカウト使用としたが、いいところで邪魔が入ったので言葉を切ってそいつの相手をすることになった。

 邪魔されて苛立ったデルタは恐ろしいほどにぶち切れた顔で奴を見下した。


 空間を切ってまた出てきた骨龍バーレイドは首を再生させてメンセルを襲おうとしたが、砂煙と複数の魔力で気づかなかったせいで会いたくない奴と鉢合わせした。


「邪魔をしたな。この我の邪魔を龍の面汚しがしていいと思っているのか」


 マジギレしたデルタはこいつと知り合いらしく、顔を合わせた瞬間から雑魚に向ける殺気を出した。

 それを受けてさっきまで余裕そうだった奴の顔に焦りが見えた。

 しかも自分を下に考えて上の方にどう言い訳をしようかという考えている顔だ。

 急がないと殺される。

 そう思って思考を巡らせたが、数秒ではいい案が浮かばなかった。

 とっさに何か言わなければと思って適当な言葉がその口から出てしまった。


「で、デルタ様がこんな所にいらっしゃるなんてどうしてですか!」


 そう言った瞬間、デルタの殺意が強くなった。しかも、やばい目をしている。

 それを感じ取った骨龍バーレイドはもうダメだと思ったが、森側のはずのレディスが間に入った。

 奴は目の前に出て盾になろうとする彼女の背中をじっと見つめた。

 デルタは立ち塞がった邪魔者に苛立ちを抑えられなくなりそうになった。

 その全体の状況を見てメンセルは自分のすべきことを見極めた。

 だから、自分より下に立っているデルタに声をかけた。


「デルタさん、そいつのことは僕がどうにかしたってことにしてくれませんか?同じ魔王として、僕はいずれ借りを返しますから」


 メンセルは真面目な顔と口調でデルタの目をまっすぐに見てそう言った。

 デルタはいまだに怒りを消していないが、メンセルの生意気ではあるが貸しを作っておいて損のなさそうな態度を見てふっと怒りを消した。

 そして、優しく微笑みながらメンセルに言った。


「本当に今回のは貸しだからな。お前には我と同程度の位置に立つことを許可するから、今回のこと忘れるなよ」


 あっさりとメンセルのことを許したデルタは高速で飛んで帰っていった。

 脅威が去ったことに安堵したみんなが生存できてることに喜んだ。

 正直言ってものすごく緊張したメンセルも膝をつくくらいに恐怖から解放されて喜んでいる。

 骨龍バーレイドとレディスは古代の魔物なのでホッとする程度にとどまった。

 喜び具合はそれぞれだが、全員がこの短時間でたった一人の魔王にビビったのは事実らしい。

 それくらい奴は存在感もやばい。


「とりあえず、感謝する」


 一難去って完全に敵意を無くしたバーレイドは大人しくそう言った。

 それから彼は覚悟を決めたような顔をして人型に化けた。

 その姿は執事のようで背が高くて黒い長髪に赤い目のイケメンになった。

 しかも顔が女性に近くて綺麗だ。

 そんな格好になった9番目の魔王が(ひざまず)いた。


「えっと、何してるのぉ?」


「我は魔王となって人型になることも出来るが、何をしても龍の一部から生まれた出来損ないに変わりは無い。それでついさっきまで龍の王に処分されそうになっていた。だが、助けられた。よければそばに置いて欲しい」


「その申し出は嬉しいんだけど、君も魔王だよねぇ」


「そうだが、魔王が手を組んで下についてはいけないという決まりはない。だから、恩人にこの人生を捧げたいのだ」


 バーレイドは恩人として、同じ魔王になったばかりの同期として、メンセルを尊敬して死にかけたその命を助けてくれた恩返しに下に付いてくれると言っている。

 アスタリアならお構いなく味方につけてるのだろうが、メンセルは王になるつもりはなかったので困った。

 そこにレディアが寄ってきてメンセルの隣に立った。

 そこからレディアは悩んでるメンセルの顔をのぞき込んだ。

 メンセルはアスタリアより頭の回転が遅いようだったので、レディアは横から手助けすることにした。


「メンセル、ここで味方につけた方がいいよ。アスタリア様はどうせここを手に入れたことにするために姉妹の誰かを王にする。その中で唯一魔王になってるメンセルを適任と考えるはずだから」


 そう言われてメンセルは長女ならやりそうだと思ってため息をついた。

 それから魔王バーレイドを、アスタリアとケルタの関係のように対等でありながら姉の方が上になれるようにした同盟と似たようなものをすることにした。


「それじゃあ、僕と君で同盟を結ぶって形にするから、僕の作ったルールに問題がなければサインしてぇ」


 そう言ってメンセルはその場で一気に形だけの同盟のルールを紙に書き上げた。

 それを彼に見せて、すぐに彼はサインしてくれた。

 これで骸骨龍王(スカルボーンドラゴン)バーレイドが病み王メンセル側についたことになった。

 この状況を遠くから魔王達と大魔法使い達は見ていて、2人には聞こえないところで祝福の拍手を送っていた。当然、その中にはアスタリアも含まれている。

 腹黒でもあるアスタリアは通信用の水晶を配下の誰かに渡して、休みながらでも戦況を見えるようにしていた。

 だから、新たな魔王が2人生まれて、その魔王達がメンセルを上にして手を組んだのも知っている。


 腹黒アスタリアはすぐに非戦闘員の方のハーピーに伝言を伝えるように命令した。

 そのハーピーは魔法界と相手国の国境の戦場にすぐに降り立って、これからのことを考えていたメンセルに伝言を伝えた。


「メンセル様、レディス様、バーレイド様、アスタリア様は全て見ていました。ですから、皆様にこの国を支配するようにとの伝言を伝えに来ました」


 速すぎるアスタリアの使いにメンセルは驚いたが、レディスはやっぱりかと思っていた。

 バーレイドは自分の名前もバレてることに気付いて、さすがは大魔法使いの一角だなと感心した。

 3人はバラバラなことを感じていたが、「皆様にこの国を支配するように」と伝言役のハーピーが言ってたのを思い出して3人とも呆れた。


「リンナ、それはアスタリア様が本当に言っていたの?私も含めて?」


「いえ、レディス様は魔王種への進化条件をとうの昔に達成していたので、強制的に行かせると伝えるように言われました」


 ハーピーのリンナにそう言われてレディスは目を丸くしてパチクリした。

 何百年と生きてるうちにいつの間にか進化条件を達成していた。

 魔王になるには2人の魔王に認めてもらうか、数万の人間の魂を捧げるか、個別の条件を達成するか、これらのどれかを達成するしかない。

 つまり、レディスは本当なら2人より先に魔王に進化する条件を達成していたから、9番目はレディスになるはずだったのだ。

 魔王候補になったけどダメだったらしいので、1番目の条件は達成できなかったのだから、必然的に残り2つのどちらかを達成したことになる。

 それにずっと気づかなかったのに主人は気付いていた。

 そのせいで恥ずかしくなってボッと顔を赤くした。

 てか、レディスが自分が条件を達成したのを意識したら途端に鳥人女王(ハーピークイーン)に進化をした。

 まぁ、赤面してるのは変わらないけど。


 これでアスタリアの思惑通りに進めるなら、3人の魔王が一国を統治することになる。

 だから、姉がこの様子を見て笑ってるんだろうなと思いながらメンセルがレディスも味方につけて、この元鉄壁国家(シルディア)の首都を目指した。

 それをするのにみんなを連れて行くわけには行かないので、リンナにみんなを連れて戻るように頼んだ。

 それから3人だけでこの国の支配と再建に向かった。





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 この砂漠と広野が広がる国を3人は歩いて移動した。

 その途中途中で荒れた村や町を見かけるたびに寄って行った。

 国そのものを略奪したと言っても過言では無さそうなので、3人は自分達が守ることを約束しながらちょっとずつと手助けしていった。

 その時のメンセルのセリフが「私はあなた達を救う魔王だよぉ。何か困ってることはないかなぁ」だった。


 この荒れた国を3人で再建して守っていく。

 アスタリアのやってること以上に難易度が高そうなことをするので、3人ともどこから手をつけるかで悩んだ。

 バーレイドは特に自分が暴れた結果なので責任を感じていた。


 とりあえず、今は首都を目指しつつ所々にある人間と魔物の様子を見ることから始めることにした。

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