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第23話長く感じる時間は嫌な時間

「ガッハッハッハッ!! どうしたぁ! どうしたぁ! そんなもんか冒険者ども!! 俺はまだぴんぴんしてるぞ!!?」


「……ハァハァ……うるさいっす!!」


 目の前にいるフェイザーに息を切らしながらもウルは上段蹴りをお見舞いする。

 しかし、その蹴りにはさっきまでの勢いがなくフェイザーにあっさりと躱されてしまう。

 今のウルは明らかに消耗していた。何とかフェイザーの攻撃を躱してはいるもの、疲れ切っているウルの攻撃はいとも簡単に避けられている。

 さっきまでとは逆の状態だ。

 ウルはフェイザーに責め立てられ、手も足も出ないでいる……。

 だが、これでもまだマシな方だ。

 ウル以外の三人は息絶え絶えに膝をついている。まともに立てないですらいるのだ。


「ガッハッハッハッ!! このまま小娘一人じゃ死ぬぞぉ!?」


 だが、フェイザーのその言葉に三人はなんとか気力を振り絞ったように立ち上がると攻撃を仕掛けに行く。


 楽しんでいる。

 フェイザーは敵を鼓舞し、自分に向かってくるように仕向けているのだ。

 まるで、最後まで自分を楽しませろと言わんばかりに。


 その様子を俺はフェイザーの真後ろから見ていた。

 足音を殺し、ゆっくりと近づきながら――。



 _______________________________________



 俺は今フェイザーの15メートルほど後ろにいる。

 しかし、フェイザーは俺に気づいていない。

 当たり前だ。気づかないように振舞っているのだから。

 というか、気づかれたらフラムの考えた作戦が失敗してしまうかもしれない。


 フラムの考えた作戦――それは、一撃でフェイザーを倒すこと。

 中途半端なダメージではフェイザーはすぐさま回復してしまい、意味がない。

 なので俺が絶対的破壊者テクノブレイクを使い、一撃で決める。

 それがフラムの作戦だ。

 そして、そのために、俺は潜伏魔法ハイティングを使いフェイザーにゆっくりと近づいている。

 確実に攻撃を当てるためだ。

 ただし、潜伏魔法ハイティングは完璧に姿を隠せるわけじゃない。せいぜい気配を消せる程度だ。なので、ばれないようにゆっくりと近づいているのだ。

 ちなみに、絶対的破壊者テクノブレイクは結局、自分の妄想チカラで発動させた。


 あと、10メートル……。

 フェイザーと自分との距離を測りながら慎重に近づく。だが、近づいていくうちに自分の鼓動が速くなっていっているのがわかる。

 たぶん、緊張しているんだろう。一歩一歩がやけに長く感じる。

 絶対的破壊者テクノブレイクを発動させてから――つまり、フェイザーに近づき始めてからまだ30秒ほどしかたってないはずだが、もう何分も何十分も経っているように感じる。


 あと、7メートル…………6メートル…………5メートル…………フェイザーはまだこちらに気づいていない。


 あと、4メートル…………よし、ここまでくればいける! フラム今だ!!


横暴な安らぎ(ティラニー・ポーズ)!!」


 俺が思った瞬間にフラムが作戦通りの魔法をかける。


「……グッ……何……だ……これはッ!!」


 そして、フェイザーの動きが止まる。

 その瞬間俺はバレることなど気にせず跳躍するように一気に前へ出た。


 フラムが唱えた魔法は対象の動きを止める魔法。

 これによりさらに確実にフェイザーの急所を狙うことができる。

 だが、この魔法で止めることができるのは数呼吸の間だけらしい。

 なので、俺はギリギリまでフェイザーに近づいたのだ。


 そして、俺は動けないフェイザーの背中のほぼ中心――つまり心臓を狙い、自分の手を尖らせ貫いた――!


「ごぼッ!!」


 フェイザーは吐き出すように大量の血を口から出した。貫いた胸からは血は出ない。俺が手が触れているからだ。

 そして、貫いた瞬間背中がぞわっと逆立つのが分かった。

 魔物とはいってもフェイザーの見た目はほぼ人と変わらない……。

 たぶん、俺が緊張していたのもそのせいだったんだろう…………。






「なんだもう全裸の冒険者(ほんめい)が来たか……」


 だが、さっきのソレ以上の悪寒が体を走った――!

 喋っているのだ! フェイザーが! 胸を貫かれ、心臓が消滅しているはずのフェイザーがこちらをにやりと笑いながら、喋っているのだ!


「なら、そろそろ本気・・を出すか!! 不死鳥の絶叫ポイニクス・フォナゾタス!!」


 その瞬間、俺の目の前は真っ白な光に包まれた――。





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