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第22話何でもかんでも全自動にするのはよくない

「うおりゃあああ!!」


戦場に響き渡るウルの声と幾重もの打撃音。

俺は今、改めて震撼した。

俺の仲間であり、一応従僕でもあるハーフヴァンパイア(ウル・カルレトナ)の強さに。

単身突っ込んでいったウルは魔王の幹部であるフェイザーとその身一つで善戦、いや、圧倒していた。

ウルの拳や蹴りはフェイザーのあらゆる部位を責め立てている。

フェイザーも何とかウルに攻撃しようとするが、ウルの圧倒的なスピードとトリッキーな動きの前では無意味でひらりと交わされる。

そして、そのまま流れるようにウルの攻撃を受けている。

武術などの心得がない俺から見ても明らかだった。

素手での戦闘においてウルはフェイザーを凌駕している。


「ねぇ、うちの子ってこんなに強かったの? 圧倒してんじゃん! 魔王の幹部手も足も出てないじゃん!」


「そ、そうね。こんなウルちゃん初めて見たわ……。これがウルちゃんの本気……!!」


「ハーフとはいえ、さすがヴァンパイア一族といったところですわね。でも、相手も魔王直属の部下……油断できませんわ。それに先ほどから……何かおかしいですわ」


フラムがそう言ったとき、一筋の風が巻き起こった。俺たちからしたら何ら問題のない現象。だが、それは戦闘中の二人にとっては大きな出来事だった。


「うっ! 目にゴミが……」


風に巻き上げられ砂埃が待ったのだ。そして、そのせいでウルの猛追は一瞬止まってしまう。

そして、それをフェイザーは見逃さなかった。


「隙を見せたな小娘ぇ!!」


フェイザーの魔の手がウルに襲い掛かる。


「ウル!! 危ない――!!」


俺の叫び声も空しく、ウルにフェイザーの拳が直撃…………




することはなかった!


「くっ!」


ウルの顔に届いてたであろう拳は届いてなかった。その拳は地面に転がっている。本来なら、腕とつながっている拳は切り離され地面に転がっているのだ。


「相手……一人じゃない……油断……禁物……」


いつの間にそちらへ行ったのか、そこにはカールがいた。その手にはいつも腰に携えているサーベルが握られている。

どうやら、それでフェイザーの腕を落とし、ウルへの攻撃を防いだようだ。


上級影魔法・隠影(シャドーハイティング)……解除……」


そして、カールがそう呟くと、カールの影からテッドとモヒカンのおっさんが出現し、フェイザーに攻撃を仕掛ける。

しかし、フェイザーはそれを後ろに跳躍し躱す。


「全裸の冒険者以外は前座と思ってたが、なかなかやるじゃねぇかぁ!!」


_______________________________________


ウルの他にテッド、カール、モヒカンのおっさんが加わり、俺たちはさらにフェイザーを追い立てていた。


いや、俺は何もしてないけどね。

それにしても一時はどうなることかと思ったが、この勝負勝てる!

ただでさえ、こちらが優勢だというのに、こっちにはまだ魔法使いのフラム、ヒーラーのエルザ……そして俺! がいるのだ。

負けるわけがない。

まぁ、正直あんな戦闘についていける気がしないからこのまま倒しちゃってほしいんだけどね。

あんな、ハイスピードで剣や拳が行きかうところにいったら、ついていけずみんなの邪魔しちゃう。

みんな普通のように躱しているけど、フェイザーの拳とかも普通に食らっちゃいそうだし……って

、あれ? なんかおかしくね? 何で…………


「気づきましたか。ノラさん」


フラムに神妙な顔で話しかけられる。

そして、フラムのその言葉によって、自分で見つけたことが勘違いではないということがはっきりとわかった。

俺がおかしいと感じたこと。

それは…………


なくなったはずのフェイザーの腕が復活しているのだ!!


まるで切られたことなどなかったかのように。

それだけではない。腕どころかフェイザーの体には一つの切り傷も打撃を食らったような痕もないのだ。


「どういうことだ? 何でフェイザーは一つのケガもないんだ!?」


「おそらく魔法ですわ。フェイザーは自分自身に再生魔法をかけているのです」


再生魔法? でも、どうやって? フェイザーは四人もの敵に責められている。そんな余裕なんてあるわけない。


「見ている限りフェイザーが魔法を唱えている様子はありませんわ。自然と再生している。おそらくフェイザー自身も意図してやっているわけではないですわね」


「なんだよそれ! ずるっ! 全自動エルザとかせこすぎだろ!!」


「ちょっとまって。全自動エルザって何? 私、いつから道具になったの?」


「すまん、すまん。つい……」


とはいっても、傷が勝手に治るとかそんなのありかよ。

それじゃまるで――不死。

そんなのにどうやって勝てば…………。


「大丈夫ですわ。ちゃんと倒す方法はありますわ」


「どうやって!?」


「とりあえず思いつくのは二つですわね。一つは再生しなくなるまでダメージを与え続けることです。いくら体が再生するとは言ってもそれは無限ではないはず。必ずいつか限界が来ますわ。ですが、これは四人からの猛追を受けても余裕釈然なフェイザーにはあまり効果的ではないかもしれません」


確かにフェイザーはあの攻撃の嵐の中楽しそうに笑っている。よくよく見ると、責め立てているはずのウルたちの方が苦しい顔をしている。


「そして、もう一つは再生が追い付かないほどのダメージを与えることですわ。つまり、一撃でフェイザーを葬ることです」


フラムは意味ありげに、にやりと口角を上げながら言った。

そして、俺もフラムが何を言いたいのか分かった。


「つまり、俺の絶対的破壊者テクノブレイクの出番ってわけか!」


俺のその言葉を聞くとフラムは微笑みながら頷いた。


「よし、絶対的破壊者テクノブレイクを発動させる! エルザ、おっぱいを触――」


「いやよ!」


そんな一寸の余地すらなく断らなくても…………。


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