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20話自家発電を親とかに見られるとすごい気まずいよね

 ギルド内クエストボード前。


「どれにすっかなー」


 俺は張り出されたクエストを眺め、今日行くクエストを見定めていた。

 俺が探しているのはなるべく難易度が低く報酬が良いクエスト。

 難易度の高いクエストだと街から遠いことが多く、移動するだけでも大変なのだ。

 だから、俺たちがいつも行くのは基本的に難易度が低めのクエストだ。もちろんたまには少し難度の高いクエストに行くこともあるが、基本的に近さと折り合いを兼ねながら選ぶ。


 そして、パーティーで行くクエストを選ぶのはいつも俺だ。

 なぜなら、ウルに選ばさせると難易度、距離すべて無視のとにかく報酬が良いクエスト。

 エルザは採掘系クエストなどの危険が少ないクエストを選んでくるが報酬が微妙。

 フラムは何の情報を見ずに手あたり次第にもってくるから論外。


 こんな風にバランスの悪い極端なクエストばかり持ってくるので、俺が選ぶこととなっている。

 ちなみに今エルザたちはギルドのテーブルで待っている。


「よぉ、ノラ。何のクエスト行くんだ?」


 横から話しかけられそちらを向く。そこにいたのは、二人組の男冒険者。最近仲良くなったテッドとカールだ。

 いつも二人でパーティーを組んでいる冒険者で、大剣を背負っていておしゃべりなテッド、サーベルを腰に携え寡黙なカール。

 一緒にクエストに行くような仲とまではいかないが、二人とも気さくな奴でギルドでよく話しかけてくれる。


「おっす。まだ決めてないよ。二人は帰ってきたところか?」


「ラズール山……オーク退治……終了」


 相変わらずカールの喋り方は端的だな……。てか、ラズール山て。ここから二日ほど歩いた場所にある山だよな。俺はまだ行ったことがないが。


「よくそんな遠いところまで行くなぁ。しんどくねーか?」


「そんなことねーよ。ただ、お前のハーレムパーティーと違って男の二人旅だからちーと寂しいけどな。それより最近調子はどうだ?」


「ハーレムパーティて……まぁいいや。どうもこうもねぇよ。一昨日くらいにヘルメスダンジョン行ったんだが、骨折り損のくたびれ儲けだったよ」


 まぁ、フラムと俺は割かし良い思いしたけど。


「はは。あそこはもう何度も探索されてるから上層はなんもねーだろな。行くなら切り裂きジャックやグラム一家くらいに強くなって下層に行けるようにならねーとな」


「一応俺のパーティーにグラス一家一人いるんだけどな。てか、切り裂きジャックて誰だ? なんか物騒な通り名だが」


 元の世界の方なら知っているが、こっちにも同じような通り名の奴がいるのか。


「え! お前知らねーのかよ! すげービックネームだぞ!?」


「切り裂きジャック………冒険者として常識……知らないの……恥……」


 ……ぐぅ。カールの奴バッサリ言うな。胸が切り裂かれそうだ。


「で、切り裂きジャックてなんなんだよ?」


「二十年以上前に有名になったとある冒険差だよ。ジャックという名前と武器にダガーしか用いないことでそう呼ばれていたんだ。そして、そいつはすげー強かった。歴代最強冒険者とも呼ばれていて、魔王の幹部をも倒したらしい。だけど、ある日忽然と姿を消してしまったんだ。それが切り裂きジャックだ」


「へーそんな強い冒険者がいたのか。それで、なんでそのジャックてやつは消えたんだ?」


「知らねーよ。噂では魔王に殺されたとか言ってるけど真意はどうだか」


 なんだか都市伝説みたいな話だな。しかも、二十年前くらいだったらもうそいつ死んでるんじゃないか?

 まぁ今の俺には関係ない話か。


「……それより……ノラ……言わなきゃいけないこと……ある……」


 カールが急にそう言うとテッドが思い出したようにハッとする。


「そうだ! 忘れてた! 今日はそのために話しかけたんだった!」


 言わなきゃいけないこと? なんだ? 儲け話でも教えてくれんのか?


「あのな、ラズール山の魔物たちが”全裸の冒険者”を探してるとか言ってたけど、それお前のことじゃね?」


「……というか……人語話す……魔物……みんな……探してる」


「…………は?」


 余りに突拍子もないことに唖然とした。


「なんで魔物が俺なんかを……?」


「詳しくは知らねーが、オークどもを倒す前に問い詰めたところどうやら魔王の幹部が探しているらしいぞ?」


 おいおい、なおさら疑問だぞ。俺魔王の幹部なんか見たことすらないのに。なんで探されてるんだよ。

 てか……


「……てか、”全裸の冒険者”と聞いてなんで俺を思い浮かべる?」


「だって、お前この街じゃそれで有名じゃん」


 そんな当たり前だろといった顔で即答するなよ……。カールも激しくうなづくなし。

 それじゃまるで俺がよく裸になる変態みたいじゃないか。

 俺この街で裸になったの二回だけじゃん。もっと全裸になってる奴いるかもしれないじゃん。


「いや、二回でも十分変態さんですわよ?」


「うおい!!?……ってフラムか。急に話しかけんなよ。びっくりしたじゃねーか。てか、なんで俺の心の声が分かったし」


 不意に突っ込まれ驚いたが、その正体はフラムだった。


「なんとなく雰囲気でそう思っただけですわ。それに安心してください。ノラさんはちゃんと変態ですわよ? よく夜覗きに行くと下を脱いで――」


「あー!!!! あー!!!! なんだか声の調子が悪いなー!!」


 危ない危ない。こいつ急に何を言い出すんだ。俺が大声でかき消さなきゃ危ないところだった。俺の性事情がバレるとこだったぞ。

てか、こいつ何勝手に覗いてるんだよ!! あとできつく言っておかねば。


「んで、どうしたんだフラム? 何かあったのか?」


「いえ、戻ってくるのが遅いので様子を見に来ただけですわ」


 ああ、そうか。テッドとカール(こいつら)と話してて、待たせてるの忘れてた。


「まぁ、俺たちはそれを言いに来ただけだから。とにかく気をつけろよ。それじゃ俺たちはこれで」


 ――バン!!!!


 テッドがそう言いその場を去ろうとしたとき、ギルドの扉が勢いよく開けられた。

 扉のとこには男が一人。

 信じられないほど息を荒げている。

 俺を含め、ギルド内の全員の視線がその男に集中していた。




「み、見張りから伝令!! 魔物が…………魔王幹部の一人”不死鳥のフェイザー”がこの街に向かっております!!!」


 男の発言にその場の空気が凍った。ピンと張り詰めたように。


「……え? マジで?」


 そして、あまりにもタイムリーな伝令に俺はついそう呟いた。



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