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ツヨイチカラ  作者: 桃馬 穂
第11章 禁じ手の握手

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第11.7量子パルス:ティターン降臨、最後の壁

 ≡ Quantum Pulse 11.7 / Titan Descent, The Final Barrier


 ガーディアン・ゴーレムは古代の遺産だが、ティターンは違った。それは、エデン・プロジェクトが誇る最新の重力制御技術が組み込まれた、人型の防衛体だった。全身を漆黒の装甲に覆われ、関節部分からは常に微弱な重力波が漏れ出し、周囲の空間の光をわずかに歪ませている。

「翔太君!ティターンじゃ!奴らの重力制御自律防衛体じゃ!」

 ドク博士の、焦燥を押し殺した声が通信機から弾けた。

『ミカが残した情報通り、ティターンの行動パターンには、0.3秒のエネルギー再充填の隙がある!結衣君、準備しろ!』。

「分かってる、ドク博士!」

 遠く離れた研究所。結衣は、目の前のコンソールに表示された波形を、汗を拭うことなく見つめていた。彼女の役割は、ティターンがエネルギーを再充填する瞬間に、特定のレゾナンス・バリアの減衰率を誘発する周波数帯を叩き込むことだった。それは、翔太が突入するための、わずかコンマ数秒の「穴」を開けるための、繊細でミスが許されない作業だった。

 広場の中央で、ティターンがゆっくりと重力投射砲を構えた。その砲身がオレンジ色に発光し、圧縮された空気が低く唸る。

「くそっ、速い!」

 翔太はボードを左へ鋭く傾け、重力砲の直線を避けた。着弾点のアスファルトは瞬時に深々と抉られ、周囲の古代クリスタルが振動で砕け散る。


 翔太は、体勢を立て直す間もなく、ボードのブーストを最大にした。彼のボードには、ドクが組み込んだ高周波振動ナイフが仕込まれている [105, 11.5.7]。ティターンの装甲は重火器の貫通攻撃にも耐性があるが、このナイフならば、特定の集中攻撃点を狙えば、局所的に無力化できる可能性があった。

「ライラ、ゴーレムを撒け!ティターンの懐へ飛び込む!」

「無茶よ!」ライラは叫びながらも、自分の持つ小型デバイスからフレア状の光弾を放ち、ゴーレムたちの視線を逸らした。

 翔太は、ゴーレムの攻撃が交錯する間隙を縫って、ティターンの足元へと滑り込んだ。ティターンは、巨体ゆえに横方向の加速が鈍いという弱点を持っていた。

「横だ! 横へ回れ!」

 翔太はボードを直角に立て、摩擦音を上げながら鋭く旋回する。ティターンの足が、その速度に追いつけず、わずかに体勢を崩した。

 その瞬間、翔太はボードの足元のソケットから、高周波振動ナイフを引き抜いた。ナイフは、触れるものを分子レベルで振動させ、分離させる。

 翔太の狙いは、膝関節の補助リンクだった。そこを断てば、ティターンは直線加速の利点を完全に失う。

 彼はボードを飛び降り、ナイフを振り上げ、ティターンの膝の継ぎ目へ突進した。


 しかし、ティターンのセンサーは正確だった。ナイフが関節に触れる直前、ティターンは片膝を地面に着き、その巨体で翔太の突進を遮った。

「くそっ!」

 翔太はナイフの先端が装甲の表面を滑るのを感じた。セルフヒーリング・ナノポリマーコーティングが、振動エネルギーを吸収し、即座に自己修復を始めている。

 その時、結衣の声が、極限の緊張と共に通信機に響いた。

『翔太くん、来る!エネルギー再充填の0.3秒!』

 結衣が叩き込む周波数帯が、ティターンのレゾナンス・バリアに微かな穴を開ける。

「ライラ、今だ!」

 ライラは翔太の横にボードで滑り込み、彼の背中を蹴った。翔太の身体が、慣性でティターンの側面へと押し出される。

 翔太は、ナイフをティターンの背部の量子発電セルへと向け、全力で突き立てた。

 キンッ!

 ナイフは装甲を貫通できなかった。だが、高周波の振動エネルギーが、わずかコンマ数秒の間だけ、セルの表面に集中した。ティターンの動きが、本当に一瞬だけ、フリーズした。

 パート4:崩れる秩序

 ティターンが静止している間に、翔太とライラは、玉座のゼファルへと向かう最後の階段の下へと逃げ込むことに成功した。

「よくやったわ、翔太!」

 ライラは荒い息を吐きながら、翔太の傷のないことを確認した。

 玉座のゼファルは、眉一つ動かさなかった。

「愚かな抵抗だ。君たちの“幸運”は、これで使い果たした」

 しかし、そのゼファルの言葉が終わる前に、ドク博士の声が再び響く。

『翔太君、結衣君!今じゃ!ティターンを一時的にだが無力化する方程式の最後の鍵が、君たちの血清の共鳴じゃ!』


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