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副将戦

「さあ始まります副将戦! 会場のボルテージはマックス! リンドウからはようやくA級冒険者が出場します! 残虐! 非道! 最低で最悪のA級冒険者が対抗戦に登場だ! 【火葬】ムラク・パイオニア!」

 司会の女性のパワフルな紹介と共に向かい側の通路からムラクが現れると、会場にいる人たちは悲鳴を上げた。

 それは彼の白い服がすでに真っ赤に染まっていたからだろう。背中の鎌の刃にも血が付着している。

「ムラク選手。一体何があったんですか?」

 司会の女性がムラクに尋ねる。

「ギルドに貢献しないザコをスクラップにしてきたんだよ!」

 かっかっか、と笑いながらムラクは言う。

 スクラップってまさか……あいつ、仲間を倒したのか? 正気じゃない。

「……そ、そうですか。は、ははは。……さあ、対するはランの新生!」

 気を取り直して、と言わんばかりに司会の口調が変わる。

「眉目秀麗! 美しさと強さを兼ね備えた戦士が姿を現す! 【氷姫】エリー・キュウイ!」

 エリーの出番がきた。でも大丈夫だろうか。あんな危ない奴と戦うなんて。

 僕らは毎度おなじみの会場に繋がる通路にいた。

「大丈夫ですよ。対抗戦、私で決めちゃいます」

 エリーは戦場へと向かう。

「大丈夫よウロナ。私は使わなかったけど、エリーにもあるの。とっておき」

 カノンは僕にそう声をかけてくる。心配性の僕に気を遣ってくれているのだろう。

 相手は曲がりなりにもA級冒険者だし。

 そんな僕の心配をよそに副将戦が始まった。

「お前ェ。俺の【紫なる火(ラプチャー)】でいたぶってやるよ」

 ムラクは背中の鎌を抜きながら、エリーを見下したみたいに言う。

「いたぶられるのはそっちだと思いますけど」

 エリーは負けじとムラクに氷のスキルを放つ。

 だがあっさりと炎をまとったムラクの鎌に無効化される。どうやら彼のスキルは炎に関係したものらしい。

 その後はムラクが鎌の刃に炎を纏わせ、振るうことで炎の斬撃を造り、エリーを攻撃する。エリーは氷で壁を造ってなんとか防いでいるけど防戦一方だ。

「ウロナ。ここからよ。エリーを見てて」

 カノンは獰猛な笑みを浮かべる。

 エリーを見ててって、こんなの見てられないよ!

「そろそろ決着つけますか」

 ムラクの攻撃を受けながら、エリーが呟く。

「決着だぁ? どの口が言ってんだ。お前じゃ俺に勝てねェよ」

「それはどうでしょうね。見せてあげますよ。私のスキル【氷の女(きみのりそう)】の真髄を! ゴクギ!」

 突然エリーの身体が白く発光する。僕はたまらず目を閉じた。

 少し時間が経つと光が消えたので、僕はまたエリーの方を見た。

 するとそこには、まるで、氷のような女性がいた。髪は白く、服装は巫女が着ているような着物。

 美しく、どこか儚げで一度触れたら消えてしまいそうだった。

 女は僕のほうを見て微笑んだ。その笑顔で気づいた。その女性がエリーだってことに。


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