ミラの物語
なんで昨日予約投稿できなかったの!
女の名はキョウカ・スプリング。冒険者パーティーのリーダーをやっているらしい。
獣人の国を出たミラはキョウカのパーティーメンバーと顔合わせをすることになった。
「てわけで獣人族のお姫様を攫ってきた。これからはうちのメンバーとして迎え入れるぞ」
「はぁ!?」
キョウカ以外のパーティーメンバー四人が揃って声を上げた。
銀のツンツン頭に白い肌、美しい顔立ちの彼はアイス・ウインター。
黒のおかっぱ頭に三枚目の顔立ち。オシャレなのか、なんなのか前髪を斜めに切っている。彼の名はオーシャン・サマー。
派手な金髪。サイドとバックにはそり込みがある。左耳には黒いピアス。淡い赤い瞳には異性を虜にするような魅力がある。彼の名はウロナの物語でも度々名前が出てくるアイ・スプリング。
褐色の肌に雲が晴れた夜空に光る月のような瞳。白い髪にはちょうどキョウカの髪色のような藍が入っている。彼の名はルナ・フォールテン。
以上四名。彼らの年齢は定かではないがまだ子供のようだった。彼らはそれぞれ口を開き意見を述べる。
「冗談じゃないですよ! 獣人族っていえば、戦争目論んでるっていう噂がある! やばいですって!」
アイスの意見。
「へー。可愛いやん。なぁ、アイ」
オーシャンの意見。というか感想。
「マキちゃん以外に興味ねェ。みんな同じに見える」
さらっと酷いことを言うのはアイだ。
「あーあー。冷たい男やわ。ルナ、お前はどう思う?」
「キョウカさん以外には興味ねェ」
ここにも酷いことを言う男が一人。ルナだ。
「お前らほんま冷たいわ」
「なに能天気なこと言ってんだお前ら! 獣人族の奴らと戦争になるかもしれないんだぞ!」
アイスは声を荒げる。が……、
「そういやマキちゃん、王宮騎士団に入るみたいやな」
「うん。心配だけどそれがマキちゃんの選んだ道だからな。それを支えんのが俺の役目よ」
オーシャンとアイは全く別の話をする。ルナも興味ないみたいだ。
「真面目に話を聞け!」
興味を示さない三人をアイスが怒鳴る。
「まぁ落ち着けや。キョウカが俺らの言うこと聞くと思うか?」
オーシャンの意見を聞いてアイスはキョウカを一瞥した。キョウカは満面の笑みだ。アイスはため息をつく。
「オー兄さんの言う通り。それに俺ら最強でしょ? 例え獣人族全員と戦うことになっても負けねェ」
ルナは自信満ちた表情で微笑んだ。
「まあ、そうだな」アイスはうなづいたあとミラを睨んで「……いいか、獣人族の姫。俺の家族に危害が及ぶようなことがあれば俺がお前を殺す」
アイスの氷のような瞳を前にミラの肩がぞくりと震え上がる。
「家族……?」
震える声でミラは呟く。
「ああ。キョウカさんが母親で、そこにいるバカ三人が俺の弟だ」
アイスはオーシャン、アイ、ルナを指差して言った。
なんだかんだ言ってミラはキョウカ率いるパーティーメンバーたちに馴染んでいった。
毎日、バカみたいに笑って、アホみたいに泣いて、それらはミラにとって初めての経験で、また色あせること思い出になっていった。
だが彼女には一個不満な点があった。それは自分が獣人だということ。
みんなと一緒にいるが自分だけは獣人。種族が違う。その根深い問題がキョウカたちと仲良くなるたびにミラを苦しめていった。
そんなある日。満月の夜。ミラはルナに呼び出された。少しドキドキしながらミラは待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所に着くと、青白い月明かりを浴びるルナはその姿を獣に変えていった。
「俺もお前と同じ獣人だ」
ルナはミラに自分の秘密を告白した。
「でもあいつらといるのが楽しいんだ」
そう言ってルナは笑った。
「俺らに血のつながりはねェ。みんなそれぞれの理由でキョウカさんについていってる。なぁミラ。お前は俺らといて楽しいか?」
答えは決まっていた。ミラは頷く。
「だったらそれでいいじゃん。つまんねェこと考えないでいいんだよ」




