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中堅戦

めちゃくちゃ休んでしまった。申し訳ないです。すいません。

 衝撃のラストで幕を閉じた次鋒戦。

 バビロンが心配だけど、次は中堅戦。ミラさんの出番だ。応援しなくちゃ。

 僕は先鋒戦と次鋒戦のときのように、会場に繋がる通路にいる。カノンとエリーも一緒だ。

 すると、そこにこの試合の主役ミラ・シレーネがやってきた。ギルドの受付嬢をやっていたときの衣装とは打って変わってマントを羽織ったいかにも冒険者らしい格好をしている。

「本当に冒険者だったんですね」

 僕がそう言うとミラは微笑んだ。

「それでは気を取り直して中堅戦! ここまで互角の戦いを繰り広げるランとリンドウ! 勝利の女神はどちらに微笑むのか!」

 司会の女性の選手紹介が始まった。

「アクマに愛されたアクマライカー! スキルが一人一つなんてもう古い! 【硬貨】リュウオ・アザミ!」

 向かい側の通路から真面目そうな顔つきの青年が会場に入ってくる。服装は着物。王宮騎士団三番隊隊長のワープが着ていたものにそっくりだが少しデザインが違う。

「アクマライカーって何?」

 僕の隣でカノンが首を傾げる。

「アクマに好かれて、スキルとは別に異能の力を授かった人たちのことだよ。主にアクマ界とこの世界を繋いだ三家がその力を持ってるって聞く。アザミ家はその一つだよ」

「へー」

 カノンはうんうん頷く。

「ランからは伝説の冒険者の登場だ。かつて魔王を討伐したパーティーの見習いとして所属していた彼女! 今ではA級冒険者を引退し、ギルドの受付嬢です! 【獣王】ミラ・シレーネ!」

「ええええええええええええ!」

 思わず叫んでしまった。

「ミラさんって魔王討伐したパーティーのメンバーだったんですか!」

「違いますよ。私は見習いです。正式なメンバーじゃありませんよ。……それじゃ、勝ってきますね」

 ミラはそう言って会場へと足を進める。

「あの頃を思い出すな」


 ミラは獣人だ。しかも獣人の王の娘だった。ならなぜ獣人っぽい見た目をしてないのかというと、獣人は人間の姿になれる異能をスキルとはまた別で有しているからである。

 彼女は獣人族の秘伝スキルを持って生まれた。

 秘伝スキルとはかつてこの世界に存在する七つの種族が対立した異種族戦争にて、その種族にしか存在しない、主に王家の血を持つものは有していたスキルのことである。

 例えばカノン・ミレーネの【五大魔術】を持っている人間や魚人や妖魔、獣人には存在しない。エルフだけが稀に持って生まれてくることがあるスキルだ。

 秘伝スキルは強力かつ、他の種族が知らないスキルだったので戦争では切り札として重宝された。今では秘伝でもなんでもなくなっているが、当時は、秘伝スキルの内容はその種族だけの秘密事項とされ、他の種族が拷問で聞き出そうとした例もあったという。

 ミラが生まれたころ、獣人の王は他の種族を攻撃しようとしていた。彼らの中にはまだ戦争の灯が残っていたのだ。

 そのため秘密事項ではなくなったものの強力な力を持つミラは幼いことから囚われ、強くなることを強制されていた。

 毎日辛い訓練が続く日々の中、ある日、藍色の髪の人間の女が獣人族の国に迷い込んだ。ミラはその人間と出会い、この国を出たいと思っていることを伝えた。すると……、

「じゃあ私がお前を攫ってやろう」

 人間はそう言った。

 ここからミラ・シレーネの物語が始まる。


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