修業の成果
修行を開始してから2か月後の今日、それぞれ修行の区切りがついたようなので集まってそれぞれがどれくらい強くなったのか確認し合うことにした。日々の修行の間にちらりとお互いの姿を見ることはあったがお互い忙しく、疲れていたためあまり話す余裕もなかったのだ。
『久しぶりだな、二人とも。2か月ぶりか。』
『お久しぶりです、カヤイさん、ネラさん。二人とも見違えられましたね。、、、とくにネラさん。』
『もう、ほんとやだ、あまりこっち見ないでよ。でもホント久しぶりね。』
2か月間、個々で修行したことによりおれら三人はかなり成長し、それによって見た目や雰囲気なども変化していた。
俺はまずソフィアの方をみる。ソフィアはおそらく【土魔法】を習得し、【ゴーレム生成】まで習得したのだろう。彼女の後ろにはニュートン君に迫るような巨体の石像が9体、従者のように引き連れられていていた。
『私も二人のように戦える仲間を増やすことができるようになりました。』
笑顔を見せながらそう告げるソフィア。戦闘時において俺らのように戦えるようになったことが嬉しいのだろう。俺は彼女のゴーレム達に目を向ける。9体とも鎧を着た騎士のような見た目をしていてそれぞれが剣や槍などの武器を持っていた。ゴーレム達はかなり精巧な造りをしていてまるで職人が彫ったような見事な出来だ。
『この子たちは私が全力で作ったゴーレムたちで、なかなか強いんですよ。ゴブリンぐらいの相手なら何体いても負けないと思います。』
『それは頼もしいな。』
それほどのゴーレムを作るということは土魔法を使うソフィアの強さもまたなかなかということだ。戦闘においてまったく戦うことのできなかったソフィアが2か月間でこれだけ成長しているとは。彼女の飛躍ぶりに驚きつつ、続いてネラさんの方にも目を向ける。
ネラさんの後ろにはも2か月前には3体だけだったゴブリンが今では20体以上、その他にもちらほら見たことのないモンスターまで増えていてちょっとした軍団みたいになっていた。そして従えているゴブリンだが、前のようにボーっとただ突っ立っているのではなく、表情を引き締め、手にしている武器を構えており歴戦の戦士のような雰囲気を醸し出している。おそらく彼女が目標にしていた2つのスキル、【霊視】と【死霊術】を習得した結果なのだろう。
しかし、彼女のほうを見たとき一番目を引いたのはやっぱり彼女本人の姿だった。俺とソフィアがそれについて何か言う前にネラさんが念話で話す。
『修業中にも私の姿を見かける機会があったから当然ちょっとは知ってるわよね。これはまだマシなほうよ。スケルトンからゾンビに進化したときはあまりに酷すぎて二人から隠れてたんだから。』
確かに、修業期間中、ネラさんを全く見かけない時期があった。アダムズさんに聞いてみると心配しなくていいとだけ言われて何かあったんだろうなということぐらいしか知らなかった。ネラさんに話を聞いてみると彼女はどうやら人の姿に近づきたい一心でモンスターを倒しまくり、レベルが上げ続けたらしい。彼女にはスキル【不眠不食】があるため休まず動き続けることができ、俺やソフィア以上に時間があったのだろう。【暗視】の能力もあるので暗くなっても特に問題ない。その結果、だれよりも多くのモンスターを倒し、スケルトンからゾンビ、ゾンビから喰種と2回も進化を果たしたようである。顔は木で作ったような仮面で覆われていて、体もどこから得たのか布をまとっていたが腕や足などから見えるその肌はジャーキーのように乾燥した色黒い肉のようだった。念話で話したことでネラさん本人とわかるが姿が変わりすぎてちょっと慣れるまで時間がかかりそうだ。
『アダムズさんに聞いたら喰種の次は下位吸血鬼に進化できるらしいのよ。だからまだまだ頑張るわ。こんな干物みたいな喰種の身体、冗談じゃないもの。』
2か月間、昼夜問わず戦い続けて強くなったネラさんだがまだ目標は達しておらず、これからさらに頑張るようである。俺も負けないようにしないと。
そして最後に俺の変化について。俺も皆のようにモンスターを倒し続けレベルアップとスキル習得に励む生活を続けていた。そして1か月と少したった頃のある朝、起きたら幼体から成長して成体となっていた。とりあえずアダムズさんに話を聞きにいくと蟲人は成体になるために一定の体力が必要で、レベルが20以上となった時に睡眠と食事を十分に行った個体が成体となるようである。この森ではレベルが上がる前に死んでしまったり、十分な栄養などをとることができず成体となることができない蟲人も少なくないのだとか。俺もアダムズさんのところにいなければ、生き残ることに必死な毎日で成体になることができなかったかもしれない。運がよかった。
俺の体は成体となったことにより構造やサイズなどが変化していた。幼体の頃には4本だった腕が今では2本になり、ゴブリンよりも一回り大きい程度だった身体が人間の成人男性ほどの大きさになってより前世だったころの身体の感覚に近くなった。また背中の羽は前よりも大きくなり自由に空を飛行することができるようになった。むしろ最近はこっちの姿のほうが気に入っているほどだ。
レベルを上げて成体となっただけでなく、目標としていてたスキルの【魔力回復速度上昇】と【体力回復速度上昇】の取得もできた。さらに森の中で色々な虫モンスターを仲間にすることができ、生成できるモンスターの種類も増えたた為、今の俺もネラさんに負けず劣らず大勢の仲間を引き連れている。
『とりあえず、みんなのステータスと仲間の数を確認し合おう。』
お互いのステータス情報などを伝え合い、それらをまとめた。
名前:カヤイ
種族:蟲人
体力:176/176
魔力:161/161
レベル:25
スキル:虫モンスターテイム、自己修復、蟲生成、生命力譲渡、念話、生成蟲強化、魔力回復速度上昇(new!)、体力回復速度上昇(new!)飛行(new!)
カヤイの仲間
・レッサーアント×5
・ジャイアントアント×17
・鋼鉄甲虫×4
・キラービー×6
・グレートモス×1
名前:ソフィア
種族:人間
体力:120/120
魔力:151/151
レベル:21
スキル:基礎魔術(火、水)、隠密行動、念話、土魔法(new!)、魔力回復速度上昇(new!)、ゴーレム生成(new!)
ソフィアの仲間
騎士ゴーレム×9
名前:ネラ
種族:喰種
体力:199/199
魔力:201/201
レベル:30
スキル:暗視、不眠不食、死体使役、念話、暗視(new!)、死霊術(new!)、下位アンデット召喚(new!)
ネラの仲間
・アンデットゴブリン戦士×20
・アンデットコボルト戦士×3
・アンデット熊×1
・アンデットウルフ×4
皆、2か月前とは比べ物にならないほど成長していた。戦力も大幅に増えたのでこれならニュートン君を説得できるはずだ。
、、、というか、みんな強くなりすぎじゃないか?特にネラさん。いつの間にか彼女に追い越されてしまったことに気付いた俺は、少しだけ落ち込んだ。




