第26話 いよいよ地上!
夢野真穂(魔法少女プルシェリア)
クラス:魔法使い +使い魔イルカの「フリッツ」
HP:普通、MP:高い、STR:貧弱、VIT:根性無し、DEX:不器用、INT:低め、AGT:どんくさい
佐伯瑠
クラス:狩人 +レッドホーク357マグナム
HP:高め、MP:低い、STR:高め、VIT:高い、DEX:凄腕、INT:低め、AGT:素早い
今まで魔法で快適な寝床を作って宿泊していたから、よくわからなかったんだけど、普通の冒険者って普段あんな呉座の上で寝てるのね。あれじゃあ土の上で寝てるのと何も変わらないじゃない。まさかお金払って借りたテントを魔法でグランピングにしちゃうわけにもいかず我慢して横になってたけど、正直よく寝れなかった。
目が覚めたところで水源をみんなで囲んで顔を洗い、行商のところに行って軽食を購入。この軽食がまた不味いのなんの。パンはカチカチ、そのパンにこれまた異常に固いソーセージが挟まれている。かけられたチーズは上手く溶けておらず食感が悪い。しかも付属の飲み物は単なる水。お金は佐伯さんが払ってくれたんだけど、きっとぼったぐり価格なんだろうな。
「失敗したよ。朝食買った後、テントに持って帰って魔法で旨いものに変換してもらえば良かった」
「あっ! そっか、こそっと魔法でサブウ〇イのサンドイッチに変えちゃえばよかったんだ。あんな不味いもの我慢して食べる必要無かったんですよね。水だってスタ〇バックスの抹茶クリームフラペチ〇ノに変えちゃえば」
「フラ……ペ? 何言ってんのかよくわかんないけど、何にしても真穂ちゃんの食事が美味しすぎて、もうあんなの食えたもんじゃねえよ」
やばっ。一瞬ドキドキしちゃった。だって『君の料理は美味しい』なんて人生で一度も言われた事なかったんだもん。
……そりゃそうだ。だって私、実際には料理なんて一切できないんだもん。得意料理なんて『卵かけご飯』だし。コンビニのおにぎりすら、まともに作れない残念な人だもん。
いやいや、それは過去の私。今の私は魔法込みだから。だって私は……ファイア〇エムブ〇ムのマムク〇トなんだから……
◇◇◇
バザーで佐伯さんが言ってた通り、洞窟の出口は本当に近いらしい。普通に地下鉄の不人気出口程度には人とすれ違う。バザーに物資を届けるために大きな鞄を背負った方もいるし、これから地下に潜ろうという人たちもいる。逆にモンスターは一切見かけない。どこにでも現れると言われているスライムすら見かけない。
一応分岐などはあったりするのだが、どこもかしこも看板だらけ。しかも地上までの通路の中央には、ご丁寧にタイルが貼られている。だから迷う余地すらない。
さらに頭上のいたるところに鏡が置かれていて、恐らくは外の明かりだと思うのだが、反射を利用して内部を照らしてくれている。
本当に地上が近いんだろうなって雰囲気がもの凄く漂ってる。
でも、地上ってどんな感じなんだろう。ヴェニスみたいに水の都みたいな感じかな? それとも近くに大きな川が流れるパリやロンドンみたいな感じかな。案外、エジプトのアレキサンドリアや、ギリシアのアテナみたいな感じかも。
レンガ造りの建物が通りの両側に立ち並んでるんだろうな。地面は石畳で。大通りに面した建物の一階はマルシェのような露天になってて。奥にはきっと石造りの大きな宮殿があって。治安維持なんていって全身金属鎧の騎士が町中を闊歩してて……
「真穂ちゃん。もうすぐ出口なんだけど、前にも言ったけど、まず真っ先に役場に行って市民登録をするからね」
「市民登録ってそんなに重要な事なんですか?」
「最重要だよ。市民登録すると市民ナンバーを貰えるんだよ。登録した日から納税の義務が発生するんだけど、代わりに市内の行政サービスや怪我で入院した時の保険なんかが利用できるようになるんだ。それと冒険者の宿もね」
『冒険者の宿』という響きがいかにも異世界ファンタジーって感じがする。市民登録やら納税やらと、妙に所帯じみた話が水を差している気がしないでもないけど。
「じゃあ私は、まず市民登録をして、その後に冒険者の宿に行って、冒険者登録をするって感じになるんですか?」
「冒険者登録? 何それ? やるのは賃貸契約だよ。住むところが確保できないと役場がダンジョンの入場許可を出してくれないからね。住居と入場許可の二つが無いと、貸金庫屋が金庫を貸してくれないんだよ」
「貸金庫? ってなんでそんなもんが必要なんです?」
「何でって、ダンジョンに潜る時には宿を解約するからに決まってるじゃん。じゃないと賃貸料が発生し続けちゃうでしょ。……あれ? 元の世界も似たような感じだった気がするんだけど、気のせいだったかな?」
……びっくりするほど元の世界のまんまでげんなりです。
おかしいなあ。私が知ってるゲームの知識と全然違うんだよね。ゲームやアニメだとまず冒険者ギルドに行って、受付のおっぱいの大きいお姉さんに渡される書類に記載して、それで何とか級冒険者とかいうプレート貰って。世界によっては、水晶に手をかざして、ステータスを調べたりして。「おお、こんな稀有な才能が!」とか大声で驚かれて。周囲の荒くれ者みたいな冒険者が「うちのパーティに来ないか?」なんて言ってきて。
ダンジョン攻略なんていうから、てっきりそういう世界を想像してたのに。なんだか佐伯さんの話を聞いてると、まるで職安に行って求人を探してこいって言われてるみたい。
「お! 真穂ちゃん! 外の明かりが見えてきたぜ。いよいよ出口だ!」
外に出て色々納得した。なんでこんなにお役所感で溢れているのか。
ダンジョンの外に広がっていた町の光景、それは私が想像した西洋のレンガ造りの町並みなんかでは無かった。木造建築に黒の瓦屋根という、どっからどう見ても日本の田舎の町のメイン通りの光景だったのだ。
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