何でそんな風になっちゃったの
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「あいつ、きっとお酒を飲み始めるわよ」
焚き火を囲っての休憩中、目の前の女性は遠くにいる自分の妹を見て忌々しそうにそう呟いた。彼女の視線を追ってみると、確かにいつの間にか酒瓶を持った少女がいる。
「まだここの探索は続くはずだよな」
そう言うのは彼女たち姉妹の幼馴染だ。シロカがこの洞窟に入る前に心配していたように、顔から血の気が引いている。戦闘のこととか、喧嘩のこととか、諸々心配なのだろう。
「そのつもりだけど、止めておく?」
「どうせ言ったって飲み続けるわよ。それに、あいつはいつも酔っ払ってるんだから同じよ」
「どういうこと…?」
「酔っても酔わなくても言うことやること変わらないってこと。体が震えるかと、ゲロ吐くかどうかの違いね」
そういえば以前に震える体でも戦えるみたいなことを言っていたような。常に体が震える方を冗談だと思い込んでいたが、まさか戦える方が冗談だったとは。
「そんなにお酒を飲むのって理由があるの?嫌なことを忘れたいとか」
「あいつにとっての良いことなんて、それこそお酒を飲むことか煙草を吸うことでしょ」
「何でそんな風になっちゃったの…?」
「わたしが知るわけないでしょ、気付いたらあぁなっていたんだから」
昔は言うことをよく聞く良い子だったってのに、とソレッティはぼやいた。家族はお互いのことをちゃんと見ているものだと思い込んでいたが、どうやらそうでもないらしい。
わからないことはわからないし、互いに興味がなければ触れ合うこともない。そんな関係性もあるみたいだ。
「俺としては二人に前みたいになって欲しいけど」
「だったらもっと積極的になったら?この洞窟の探検の中、貴方まるで空気だったわよ」
「そんなことないだろ。なぁ、ブレッドさん」
答えることができなかったのでシロカの方を見ると、彼女らは魔法で炎を消していた。どうやら休憩は終わりのようだ。
「後半戦が始まるみたいだよ。頑張ろ」
「なぁ、なんで何も言ってくれないんだ?」
ドリーさんが悲しげな瞳でこちらを見てくる。そんな目で見ないで欲しい。彼はほど良く喋る人だし、悪い人ではないことはわかるけど、それでしかないのだ。つまりは何というか、記憶に残らない人。そんなこと、知り合って一日二日の人間に言えるわけがない。
「ドリーさん、焚き火は消せる?」
「え、おう。任せておけ。それで、何でさっきの質問に答えてくれないんだ、なぁ」
「沈黙が答えなんでしょ。ほら、さっさとしなさいよ」
「ソレッティは本当に高圧的だな。友達失くすぞ」
「ゼロがマイナスになるとでも?」
誇らしげに言うソレッティさん。なんやかんやでこの姉妹、やっぱり似た者同士ではないのだろうか。
ドリーさんが渋々といった様子で焚き火を消すと、アタシたちは再び隊列を組んで地図の作成を進めるのであった。




