問題は二つ
「問題は二つありますね。モンスターとの戦闘、あの二人の仲の悪さ」
「前者はともかく、後者は一朝一夕で何とかなるものじゃあないだろうね」
洞窟の地図作成を手伝うと決めた私たちは、一度近くの街へと戻り作戦を練ることにした。最初は五人全員で考えていたのだが。
「そんなの簡単よ。こいつを盾にして進めばどんな攻撃も防げるわ」
「こんな危険思想の奴を放っておいていいのか?いずれテロでも起こすんじゃないか」
「何を言うの。あんたを最大限に役立てる方法ってのを考えてあげたのに」
「何を言う。生きているだけで経済を回してるんだ、世界の役に立っているだろうが」
最初から喧嘩が始まり、先ほどのように武器を構え始めたので出て行ってもらった。段々と慣れていく自分が怖い。
ちなみに、盾にしようとした方が姉で盾にされそうになった方が妹らしい。姉は剣が好きで、妹の方は酒とタバコを愛しているそうだ。…妹は未成年らしいが。
「あの二人がいる限り、無事に地図作成が終わる気がしないのですが」
「とはいえ、彼女達を連れて行かないのもなぁ」
「ドリーさんとあの姉妹はどういう関係なの?」
あぁ、それは気になっていた。言い方から察するに、ドリーさんは彼女たちの家族ではないようだが。
「ただの幼なじみだよ」
「あぁ、なるほど」
「ずっとあの二人を見てきたんだけど、最近急に仲が悪くなってきたんだよね」
それからも話を聞いていくと、どうやら家族ぐるみでの付き合いがあるとのことだ。昔は姉妹の仲が良かったらしいのだが、気付いたらあんな風になっていたらしい。
「きっかけがあれば仲直りしてくれると思うんだけど」
「そのきっかけがこの依頼だと?」
「というか、共同で作業をさせることかな」
「だったら洞窟探検じゃなくてもいいのでは?」
一歩間違ったら命が失われるかもしれない。そんな危険な状況に突っ込む必要などないんじゃないか、そう思ったわけだが。
それを尋ねてみると、ドリーさんは遠い目をしながら大きなため息を一つ吐いた。
「他のパターンは色々試したんだけどね。全然ダメだったんだよ」
同じ職場でアルバイトをさせれば互いに足を引っ張り合い、二人で家の家事をさせれば互いに足を引っ張り合う。結局、荒療治が一番効くのではないかということで洞窟へ連れ出したところ、現在の状態になっているとのことだ。
「もう放っておいたら?」
呆れたような表情でブレッドさんが提案したところ、ドリーさんは首を横に振って言葉を続けた。
「そうも行かないんだ。彼女たちの両親から仲直りを頼まれててね」
「でも難しいでしょ?」
「いやいや、考えてもみなよ。あの二人と四六時中一緒にいなきゃならないその人達のことを」
…あー。それは確かに厳しいものがあるかもしれない。少し一緒にいる私たちだって呆れているのだ。多少は慣れるとはいえ、あの口喧嘩がずっと続くようなら精神が参ってしまうだろう。幼なじみのドリーさんが頑張る理由も理解できる。
これは世のため人のために、私たちも全力を尽くさなければなるまい。ブレッドさんと二人で頷き合うと、私たちは再び卓上の紙に向かって策をまとめるのだった。




