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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
6章
85/125

だとしたら、何だと言うのか

───

夢を見た。久しぶりに安心する夢だった。

温かく、心地いい。ずっと浸かっていたいぬるま湯のような夢。

死ぬまでこのままでいたい。心の底からそう願ってしまった。

そんなことできるわけないのに。



───

「何だかすごく恥ずかしいことをしてしまった気がするんですが」

「気のせいじゃないかな」


翌日、酔いの覚めたシロカが欠伸をしながらそう呟いた。どうやら潰れても記憶が残る体質のようだ。


「それでさ。一休みしたら次の街でも目指そうかと思うんだけど」

「いいんじゃないですか。ちょっと名残惜しいですけど」


そう言ってシロカは窓の外に目を向けた。視線の先は恐らく、昨日シロカが呑んでいた店だろう。


「そんなにあそこのお店が気に入ったなら、テイクアウトでお酒買ってきたら?その外見で飲めたんなら大丈夫でしょ」

「さりげなく失礼なこと言いますね」


シロカは確か十八歳だったか。彼女の世界ではどうかわからないが、少なくともこっちでは成人扱い、酒も煙草も利用できる年齢だ。

彼女の見た目はとても年相応には見えないが、ステータスウィンドウを見せれば年齢だって保証できる。やはり紙に刷っておいて良かった。シロカひとりならウィンドウの表示もできないものな。

そういえば。

何でシロカはウィンドウを表示できないんだろう。今まではそういう物だと思い込んでいたし、シロカの世界にはないものだという話だったから出し方に慣れていないのだと思っていた。

でもずっと旅をしているとわかる。彼女の世界とアタシの世界は似ている。料理の献立やレシピもそうだし、彼女が使っている魔法もそうだ。ならばシロカも、やろうと思えばウィンドウを出すことができるはず。それができないのは、そもそも彼女にステータスが用意されていないのか。いや、それはないか。さっき考えた通り、過去に鑑定してもらった結果を刷ったものな。

…いや、待て。やはり変だぞ。あの時見てもらった結果は測定不可能のオールXだった。だが彼女の力はもっと強い。それにあれから違う街でも鑑定してもらったりもしたが、やはりオールXだった。ということは鑑定ミスなどではないだろう。

ならば考えられるのは、測定不可能なほどシロカの力が強いのか。それとも、やはりシロカにはステータスというものが用意されていないから測定不可能なのか。

今までは前者だと思っていた。だが仮に後者だとしたら。

…だとしたら、何だと言うのか。悪いことなど何も起きないだろうに。

それにもしかしたら、そんなイレギュラーな彼女だからこそあるのかもしれないな。考え事は一旦やめ、荷物の整理のために手を動かし始めた。

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