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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
6章
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とにかく寝てね

「小さい女の子が来ませんでしたか?アタシよりも一回りくらい小さい子なんですけど」

「さぁ。うちには来てないと思うが」


回っていて気がついたが、子どもはあまり店に来ていないようだ。飲み屋街でも家族連れなどはいると思っていたが、最初に寄ったパンを食べた店以外で子どもを見ることはなかった。

それならば見た目は子どものシロカが目立つと思うのだけど、中々彼女の目撃情報を得ることが出来ない。すれ違いで宿に帰っているのか、それとも。


「一つの店に長居しているのか」


宿に帰っているのだとしたら、恐らく休んでいるのだろう。ここは一つの店に長居している可能性を考えて、引き続き店を回るとしよう。もしかしたら店に迷惑をかけている可能性もあったりするし。

店を数店巡ってシロカがいないか、シロカが来ていないかを確かめる。お洒落なところ、質素なところ、静かなところなど…。

そうして巡った最後の店で、見慣れた少女の姿を見つけた。大衆向けで騒がしいお店だった。


「シロカ」


少女はカウンターで、コップ片手に酔い潰れていた。バーテンダーの人も苦笑いしている。


「シロカ、戻るよ」

「んー。やだぁ」


いつもの敬語で会話するシロカとは大違いだ。駄々っ子のように甘える彼女を見ると、見た目の幼さ同様の人間のように思える。アタシよりも年上だけど。


「もう飲めないでしょ。いくよ」

「大丈夫だよぉ」

「大丈夫じゃない奴でしょ、それって」


酔い潰れた人間の言う台詞上位を聴きつつ、シロカの肩を担いで店を出ようとする。すると、後ろから背中を突かれた。バーテンの人だ。


「お代、いただけますか?」


代金の請求だった。




「ほら、ベッドだよ。シロカ」

「んんん」


お金を払い、シロカを担いで宿屋へと戻る。こんなにデロンデロンになった彼女を見るのは初めてだ。ベッドに下ろそうとすると、離れないようにギュッと抱きしめてくる。何だか愛おしい。


「まだ起きてますから。側にいてぇ」

「…仕方がないなぁ」


背中に腕を回すシロカと共にベッドに入ると、彼女は満足そうににんまりと笑い再びアタシに抱きついた。こんな輝くような笑顔を見せられると、探していたときの苦労なんて吹っ飛ばされるようだ。


「ほら、寝るよ。寝てる時に吐かないでね」

「ふふ、大丈夫ですよ。私はシルシの弟子ですよぉ」

「シルシってのが何がわからないけど、とにかく寝てね。側にはいるから」

「本当に?離れません?」

「離れないから、安心して」

「んふふ。やったぁ」


これはだいぶ酔っているな。幼児退行起こしているし、このまま見ている分には面白いけど、明日起きた時にどうなっているやら。


「私が寝るまで側にいてくださいねっ」

「はいはい。わかったから」


年の離れた妹がいればこんな感じなのかなと、密かに思いながらアタシはシロカを寝かせつけた。

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