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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
5章
74/125

効きました。引くぐらいに

「何なんだろうね、そのお婆さんって」


薬を飲んでから咳も減り、元気になったブレッドさんと共に、私は昨日行った薬屋へと向かっていた。

小瓶の中身を飲んだ私たちは疲れが吹き飛んでおり、どこまででも走ることができそうなほど足が軽くなっていた。変な物質が入っていないか、それだけが心配だ。


「それにしても、すごい効き目だよね」

「薬ですか?」

「うん。アタシ達はあの液体を怖がってたけどさ。もしかしてただ単純に凄い調剤師だったんじゃないかな」

「そんなものですかねぇ」


あれがただの薬だとは思えないが。

と言っても、何なのかというのも見当がつかない。モンスターの生き血?特別な植物の汁?

どっちにしても、私が知らない液体であることは変わりはない。それを知る恐怖心と好奇心では、好奇の気持ちが勝った。


「それで、その薬屋さんってどこにあるの?」

「あれです」


ちょうど視界に入ったそのテントを指さした。建物からは相変わらず謎の煙が立ち昇っている。それを見たブレッドさんは一言、確かにあれは怪しいと呟いた。


「お邪魔しますよ」


一声だけかけて、私たち二人はテントの中に入る。煙が出ているだけあって、中の空気はなんというか濁っている。恐らく試験官の中のボコボコ液体が原因だろう。

老人は昨日と同じように水晶玉を乗せたテーブルの前で座っている。


「おやおや。昨日の」

「貴方の薬、効きました。引くぐらいに」

「そうだろうそうだろう。ワタシの薬はよく効くと評判なんだ」


老人はひっひっひと笑い出す。その老人を、ブレッドさんは目を見開いて見ていた。どうやら私と同じで、こんな笑い方をする人間を初めて見つけたのだろう。


「それで、今日は何の用だい」

「あの薬について聞きたくて。材料とか、調合の方法とか」

「それは教えられないよ。企業秘密って奴さ」

「ですがあれの効き目は異常ですよ。気になっても仕方がないでしょう」


この人の瞳を見る限り、特別嘘や偽りなどは話していないようだが、それでも薬の内容が気になる。これは先ほど感じた好奇心というものだ。

老人はピクリとも動かなくなった。企業秘密のため、ひたすらに黙っているのだろうか。

もう一度問いかけてみよう。そう思い身を乗り出した時、一文字に結ばれていた老人の口が開いた。


「ナタァカイセの花を探しな」

「…え、なたーかいせ?」

「そう。それが、ワタシの出せるヒントさ」


老人は再び動かなくなった。まるでゼンマイが切れたカラクリ人形のようだ。

しかし、わざわざ企業秘密とやらを教えて貰ったのだ。その何とかの花、探してみようじゃないか。あの薬が特に変なものが入っていない、純粋な薬だとするなら今後役に立つかもしれない。

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