会いたいな
最近疲れが溜まってだめですね…。
「前に出ろ、印!」
「わかりました!」
大牙さんの攻撃の後、入れ替わるように印が剣を振るう。敵に隙を与えない良い連携だ。私はといえば二人の様子を見つつ、言われた通りに後ろを警戒するだけだった。
この分だと私の出番はなさそうだなぁ。頭の中でそう呟き、私は再び後方への警戒を始めた。彼女らは強いのだ。息のあった連携と、手数の多さ。そして高威力の魔法や剣技でモンスター達を怪我することなく一掃することができた。どちらも私にはないものだ。
「次が来る。構えろ」
「了解です!」
背中越しに二人の声を聞きながら、戦闘が終わるのを待ち続けていた。私が二人と並んで戦える日というのはいつ頃やってくるのだろう。まだ訓練すらまともにこなせないのだから、遠い未来の話ではあるだろうが。
「群れだ。右を頼む!」
「理解しました!」
二手に分かれ、各々がモンスターの群れを相手に立ち回る。互いの担当領域に獲物が行かないよう、優先順位をつけて正確に撃破していく。流石だなと、私は感嘆の息を漏らすのだった。
モンスターの数は段々と減っていく。その間、彼女たちは全く怪我を負っていない。
もう大丈夫なんだろうな、そう思って気を抜いた時だ。珍しく大牙さんのやられ声が聞こえた。
何が起きた?振り返るとそこでは大牙さんが尻餅を着いていた。初めて見る光景に、私は思わず焦って飛び出してしまった。助けようとしたのだ。策も何も持たずに。
「大牙さん!」
「な、城花?」
急いで腰から剣を抜き、少なくなったモンスターの群れへと突っ込んでいく。しかし甘い太刀筋の攻撃は当たらず、そのうちに私の攻撃はモンスター達に読まれてしまう。
「馬鹿、下がれ城花!」
頭に血が上っていた私はその忠告を聞くこともなく、当たりもしない剣を振り続ける。隙だらけの私は格好の標的となり、ようやくモンスターの行動に気がついた時には自分のすぐ頭上に相手の武器が存在していた。
これは避けられない。私はそのモンスターの攻撃を頭から喰らって──。
「ちょっと。大丈夫、シロカ?」
気がつけばテントの中にいた。先ほどまでの朧げな景色とは違い、はっきりとした視界だ。
目の前では真空色の髪をした少女が心配そうに私の顔を覗いている。辺りをキョロキョロと見渡してみるが、他に人は見当たらない。
「うなされてたけど」
「…かもしれませんね」
久しぶりに、昔の旅の夢を見た。あの頃はミスが多く、あまり思い出したくないものだと思っていたが、いざ思い出してみると、意外と良い思い出だったと感じるものだな。
「会いたいな」
目前で心配するブレッドさんにも聞こえないほどの声で、私はそう呟くのだった。




