愛していなかった
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「ごめん、見つからなかった」
思いつく限りの子どもが向かいそうな施設を周り、ダリダに教わった特徴を持つ少女を探してみたものの結局それらしき存在は見当たらなかった。路地裏に先に来ていたダリダの様子を見る限り、彼女も妹を探せなかったのだろう。
「町の外へ出た可能性は?」
「そんな危ないことをする子じゃない。流石にそれくらいはわかると思う」
「でも、これで八方塞がりか」
ここに来る途中ギルドに寄ってきたが、どうやらまだシロカは戻っていないようだった。こういう時は少しでも人手が欲しいのだが、無い物ねだりしても仕方がないことだ。
「ったく」
そうやってアタシが次の手段を考えていると、ダリダは頭を掻きながらボヤき始めた。
「いつもいつも、人の気持ちを考えないでっ」
「妹のことが心配?」
「…そりゃあ、まぁ」
苛立った表情が少しずつ赤くなっていく。恥ずかしいのだろうか。創作では、家族は家族のことを常に思っているような描写をよく見てきた。やはり現実では違うのだろうか。
「向こうはどう思ってるかわからないけどさ」
「ん、どういうこと?」
「血は繋がってないんだ」
え。
言葉の内容よりもその事実に驚いた。彼女がこれだけ必死に探している女の子は、血の繋がっていない家族だと言うことに。
血は繋がっていなくても家族は家族。そんな言葉を耳にしたことがあるが、ただの綺麗な言葉だと思っていた。血が繋がっていなくても家族は家族を捨てるんだ。家族の絆なんて細くて脆い。
「それってさ」
だってそう思わなければ。
アタシの母は本当にアタシを愛していなかったことになるじゃないか。
「そんなに必死にならなくてもいいんじゃない?」
そんな言葉を口にして、初めて自分がとんでもないことを言ってしまったことに気がついた。目の前のダリダの額に、深いシワが刻み込まれていく。
「何それ」
「あ、いや。ごめ──」
「確かに血の繋がりはないよ。でも、それでもニアンダは大切な人間なんだ!人のことも知らないで適当なことを言うな!」
ダリダはアタシに詰め寄って一気に捲し立てると、息を切らしながら睨みつける。怒りを浮かべる彼女を見て、アタシは改めて自分がいかに無神経な発言をしてしまったのかと再認識した。
「悪かった。確かに適当なことだった」
頭を下げて心の底から謝罪をする。そして顔を上げると、ダリダはバツの悪そうな顔をしていた。
「…いや、わたしも悪かった。無償で付き合ってくれる人に言うことじゃあ、なかった」
そんなこと、気にしなくても良いのに。良い人だな、この人。
「とにかくだ、次は二人で探そう。ニアンダがいる可能性があるところをもう一度回ってみるから」
ダリダの考えに同意を示し、アタシたちは再び路地裏を飛び出した。




