サボりじゃないよ
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ギルドに赴いたアタシたちは、適当なモンスター討伐の依頼を二つ受けて別々に行動を始めた。シロカの依頼の方は道中で出会ったモンスターだ。シロカは実力もあるし、引き際もわかっている。滅多なことがない限りは無事に依頼を達成して戻ってくるだろう。
さて、アタシの方はというと。
「モフーモベアの毛皮二つ、爪四つ。納品しに来ました」
余っているモンスターの素材をギルドに納めていた。
これも依頼の一つで、即達成できてすぐにお金を作ることができる。お店に買い取ってもらうこととやっていることは似ているが、あちらは『不要なものを引き取ってもらっている』のに対し、こちらは『必要なものを与えている』ので、同じ素材を渡すにしても金額が大きく異なる。依頼内容にもよるが、大体三倍くらいは変わるだろうか。
そのためできるだけ店に買い取ってもらうことはしたくなかったが、道中で小銭が欲しかったのは事実だ。なので、比較的希少価値の高い素材はギルドがある町まで取っておくことにしていた。
肉体労働ではないため、シロカには申し訳ないと思うところがあるが、これはこれで数をこなさなければならない。その分だけ書類を書かなければならないので、アタシがやるしかないのだ。
…何だかただの言い訳にしか聞こえなくなってきた。サボりじゃないよ。ほんとだよ。
心の中で言い訳をして、書き終わった書類を提出し報酬金をもらう。少なくとも、これで今日の寝床は心配しなくて大丈夫だろう。とはいえまだ素材はある。他に達成できそうな依頼は──。
「──あのっ!」
依頼が書いてある貼り紙を見ようとした瞬間、急に大きな声がギルド内に響き渡った。一瞬自分に声をかけられたのかと思ったが、背後を見るとそうでもないらしい。
そこではアタシと同じくらいの少女が、受付のお姉さんに鬼気迫る表情で質問をしていた。
「女の子、知りませんか。迷子なんですけど」
「い、いえ。迷子探しを依頼するのでしたら、あちらの方で手続きをしていただくことになりますが。それと、報酬の用意を」
「お金は…」
少女の表情が変わる。ざっと身なりを見たところ、悪いが特別裕福な暮らしをしているとは思えない。寧ろところどころ破れた服を見ると、その反対の方が正しいように思えた。
ギルドも慈善活動で行っている場所ではない。金銭の絡みで譲渡することなど絶対にないだろう。それなら、アタシが取る必要はたった一つ。
「ちょっと、いい?」
そう言ってアタシは少女の肩を掴んだ。
「っ。何アンタ。離しなさいっ──」
「いいから出るよ。気づかない?みんな貴方を見てる」
少女が出した大声と、ギルドの利用方法を理解していないような行動に、ここにいる人々は彼女を蔑むような目つきで見ている。それに気づいた彼女は、少し顔を赤くさせて俯いた。
「話は外で。いい?」
答えを聞かず、アタシはそのまま少女を外へ連れ出した。




