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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
3.5章
47/125

今、楽しいです!

「あ、シロカ。そっちはどうだった?」


誕生の置物を買って再び祭りをぶらぶらしていると、たまたま先ほど別れたブレッドさんと鉢合わせた。


「こんなの買いました」

「何それ。ガラクタ?」


これ売ってた人が聞いたら泣くぞ。


「あるテーマに則って出来上がった木彫り細工です。わかります?」

「ガラクタじゃないの?」

「あなた頭使ってないでしょう」

「いや、全然わからない。ちっとも」


テーマは誕生だ、と伝えると彼女は余計にわからなさそうな顔をした。この話はここで終わりにした方が良さそうだ。

話題を変えて、今度はブレッドさんがどこを見回っていたのかを聞いてみる。彼女はボールを的に当てて点数を競う遊戯をしていたらしく、高得点者しかもらえないという景品を自慢げに見せてきた。どこかの国の民族衣装らしい。学生が型紙を引き、縫製したとのことだ。

そこまで話すと、彼女は急に何かを思い出したかのように手をポンと叩く。


「そうそう、向こうでデザート売ってたんだよ。一緒に食べに行かない?」

「へぇぇ。どんなのですか?」

「なんか柔らかいパンみたいなのに、上からクリームチーズをたっぷりかけた奴」


そんなの不味いわけないじゃないか。どう考えても美味しい組み合わせだよ。


「行きましょ行きましょ。それ食べたいです」

「よし、それじゃ行こうか」


ブレッドさんに手を掴まれ、彼女の案内を元に名前も知らないデザートを食べに行く。人の多い中、二人で道を走る時間はとても長く感じ、なんだかとても…。


「ブレッドさん!」

「なにー?」

「今、楽しいです!」


とても久しぶりにそう感じた。その後に食べたチーズ乗せパンの味は、しばらく忘れることがないだろう。




「…ん」


気がつくと宿屋で眠っていた。あの後は確か他の食べ物の露店を渡って、ブレッドさんがやったというボール投げをやったりして。…全然上手くいかなくて参加賞の飴を貰ったりしたなぁ。

そうして夜まで遊んで疲れ果て、宿屋に戻った瞬間にすぐ寝てしまったようだ。太陽が昇り切っているのを見るともう昼頃か。随分と長い間眠っていたようだ。

シャワーを浴びて朝食兼昼食を食べながら、外の様子を見る。祭りは今日も行われているようで、すでにたくさんの人が外を歩いていた。

あの人たちも昨日の私と同じように、今日の出来事を思い出に残すんだろうな。そう思いながら、私はチーズのかかってない固いパンを頬張った。

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