物色してみたい
「図書館ですか?」
教会があった村を後にして数日。私たちは次の街を目指して旅立った。道中、目的の場所について話を聞くと、そこには大きな図書館があり、たくさんの情報を入手できるだろうとのことだ。
そうなれば当初の目的である、私が自分の世界に帰る方法だって見つかるかもしれない。新聞などがあれば、ブレッドさんの母親に関する情報だって手に入るかもだ。
…それに、シルシの件も気になる。彼女と同姓同名の神がこの世界にいるのであれば、それこそ私の世界と何かしらの繋がりがあるのかもしれないだろう。
ともかくだ、今の私には情報が少なさすぎる。図書館があるというのは好都合だ。これを機に、少しこの世界のことを学ばせてもらおう。
「あ、そうそう。ちなみに今の季節だとちょっとしたお祭りもやってるみたいだよ」
「祭り?」
「さっき言ったように図書館があって、学生が多い街なんだけどさ。その学生たちが露店を開くんだって。ちょっと面白そうだよね」
なるほど。労働体験の一環のようなものだろうか。自分で物を作り販売することで、金を稼ぐことの大変さを知ることができる。
それに見る側としても色々楽しめそうだ。一流の職人が魂を込めて作ったモノと、色々学び紆余曲折しながら作ったモノでは違った良さが出るだろう。武器や防具を買うことはないだろうが、小物や装飾品があれば物色してみたい。
「お。もしかしてシロカ楽しみ?」
ブレッドさんが私の顔を覗きながらそう言った。そんなに表情に出ていただろうか。
「否定はしませんが」
「よしよし、良いことだよ。前の村じゃあんなことがあったからね。気分転換には持ってこいだよね」
あぁ、そうか。あの村での出来事は、彼女にとってもやもやとした終わりを迎えたんだった。通りでここ最近、ちょっと不機嫌そうだったわけだ。
そんな彼女も次の街のお祭りはとても楽しみなようで、顔を見なくても楽しみオーラが体から滲み出ている。
「それで、その街まではあとどれくらいかわかりますか?」
「うーん。多分あと一日あれば着く、と思うよ」
地図を広げながらブレッドさんはそう答えた。私はこの世界全てに土地勘がないため、目的地までの道は全て彼女に考えてもらっている。ありがたいことだ。
「わ、わぁぁぁっ!」
心の中で感謝をしていると、どこか遠くから悲鳴が聞こえた。声は恐らく一つ。何かに襲われているのだろうか。
何はともあれ、放っておくわけにはいかない。ブレッドさんと頷き合うと、私たちは悲鳴の主を探して駆け出した。




