二人いれば確実に勝てる
ある程度笑い声をあげると、神父、いや自称神は疲れからか大人しくなった。それから罪人を取り締まるような組織を探すも見当たらず、私たちは自称神を村長の元へと連れていった。夜分に訪ねるのは少し悪い気がしたが、こいつをこのまま放置しておくことの方が心配だ。
村長は突然の来客に驚きはしたものの、穏やかな笑顔で私たちを出迎えてくれた。しかし話の内容を聞くと、次第にその顔が曇っていくのが見えた。
「そうですか。彼が、我々を騙していたと」
正確には心を操っていたのだが、それをもとに神様面をしていたことを考えると騙しているというのも間違っていないだろう。訂正するのはやめておいた。
「彼はどう裁くのですか?」
「そう、ですね。この村で罪人が出たときは、村の全員で処遇を決めております」
「つまり彼の被害者が、彼のその後を決めると」
ブレッドさんの質問に村長さんが答える。神父の処遇は村の人が決めるとのことだ。小さな村で起きた出来事だと考えると、それも妥当なことかもしれないな。
この村の方針がそう決まっているのならば私たちが口出しすることもないだろう。神父については村民に任せ、私たちは旅の準備をするとしよう。
「わかりました、お願いします。必要ならば翌朝まで、彼が暴れないよう見張りを行いますが?」
「お言葉に甘えさせてもらいましょう。腕が立つ者はいるのですが、彼より貴女方のほうが腕が立ちそうだ」
陰でそう言われるのもかわいそうだな。
「それでは隣の部屋を借ります。なるべく静かにさせますが、多少の声が漏れることはご容赦ください」
「こちらこそ、旅の方のお手を煩わせてしまい申し訳ありません」
「気にしないでください」
乗り掛かった船という奴だろう。それに、こいつがまた変な魔法で精神操作をしてくるかもしれない。それならば、見張りは私が適任だ。
「ブレッドさんはどうします?別に一人でも大丈夫ですけど」
「アタシも一緒にいようかな。役に立たないかもしれないけど」
「話し相手になってくださるのであれば、とてもありがたいですが」
一人でじっとしているだけだと、どう頑張っても睡魔と戦うこととなってしまう。それに負けるとは思ってないが、二人いれば確実に勝てると思えるのも事実だ。
「それじゃ決まりだね。朝までお喋りしよっか」
「目的を忘れない程度に、かつ村長さんに迷惑がかからないくらいの声で、ですけどね」
そうして私たちは隣の部屋で、旅の振り返りを行った。まだまだ短い旅路だが、一晩の話のネタとしては充分なものだった。




