私の仲間の名前
誤字報告してくださった方、ありがとうございます!
気をつけているつもりなのですが、どうも見落としてしまうことが多く…。とても助かりました!
ブレッドさんの手を引っ張り部屋の中へと連れこむ。この部屋は客間だろうか。埃がかぶったベッドと机、椅子、タンスが置いてある。
音が出ないように廊下へと出ると、同じく埃かぶった道が続いていた。どうやらしばらく二階を使っていないようだ。ということはずっと二階の窓が開いたままだったのか。ふっ、無用心な奴だ。
敵の防犯意識の低さに感謝しながら歩いていくと、やがて階段にたどり着く。今のところは何もないし、誰にも会っていない。でも今朝ここに来た時に怪しいところなんてあっただろうか。そう思いながら降りていき、辺りを見渡す。やはり何も見当たらない。
「シロカ、シロカ」
何か手がかりがないかと辺りを探索していると、ブレッドさんが神の像の前で手招きをしていた。
「何ですか?この像に祈っても神には届かないと思いますよ」
「そう?あ、違う違う。あれ見てあれ」
彼女が指を刺したのは床だった。何かあるのかと思って見てみると、そこには擦れた、何かを引きずった跡があった。
「像を動かしたのかな」
「動くんですか、これ」
素材はわからないけど、これ金属の塊だぞ。
「…でも、確かに跡があるということは、その可能性はありますね。試しに押して見ますか」
「大丈夫?神様に怒られたりしないかな」
「神の心がそんな狭いわけないでしょう」
躊躇するブレッドさんを横目に、跡に沿って神の像を押して見た。しかし見た目通りの重さであり、びくともしない。ならば簡単に動くような仕掛けはないかと、ペタペタと神の像を触りまくる。
「何してんの?」
「像を動かすボタンとか、仕掛けとかないかなと」
だが、見当たらない。怪しさ満点ではあるし、この像に何かがあるのはほぼ間違いないと思うのだが。
「それなら、もしかして合言葉とか」
「合言葉?」
「ほら、あるでしょ。特定の言葉を言ったり入力しないと開かない扉とか」
確かに、それは私の世界にも存在した。そんな仕掛けが施されているのかもしれないが…。
「流石にヒントなしでは厳しいですね。固有名詞なのか文章なのか、文章だとしたら途方もないです」
「まぁ、思いつく限りだけでも言ってみようよ。教会だから神様の名前とかかな」
それなら余計わからないのだが。まさか私の世界と同じ名前の神がいるとは思えないし。
そのことを伝えると、それもそうだとブレッドさんが思いつく限りの神の名前を像に向かって話しかけていた。今のところ像が反応する挙動はない。
「うーん、あと何かあったかな」
「玉切れですか?だとしたら神の名前ではないのかもしれませんね」
「あ、そうだ。シルシ!シルシ・エレファン!」
え?
ブレッドさんがその名前を口にした時、像がブルリと震えゆっくりと横へ動いた。彼女が言った通り、合言葉は神の名前だったようだ。
だが、私が驚いたのはそれが原因ではない。
今聞いた神の名前は前にいた世界での、私の仲間の名前だった。




