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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
3章
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頭の心配まで

太陽が沈み、世界は暗闇に包まれた。黒い衣装に身を包みその中を歩く私は、さしずめ闇の使いとでも言ったところか。


「は、何言ってんの。頭大丈夫?」


無意識のうちに私はポエムを口にしてたみたいだ。しかも頭の心配までされてしまった。そこまで言われるとは思わなかった。


「私の頭は大丈夫です。それよりも、何でいつもと同じ格好なんですか?」

「やっぱり普段と同じ格好じゃないと不安になるから…」

「どういう理由ですか、それ」


不安の理由が適当にも程がある。いや、献立で悩んでいる人も居たくらいだし、理由は関係なく、心に不安を抱えやすい人は影響されやすいのかも。

…なるほど、私に全く影響がないのも納得だ。


「今更ですし、誘っておいて言うのもなんですが、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。教会の悩み相談活動がインチキってんなら、何でそんなことしてるのか知っておきたいしね」


恐らくただ金稼ぎをしたいだけだとは思うが。

大丈夫だと言うブレッドさんを連れて例の教会まで歩く。仕掛けをした二階の窓を見ると、僅かだが開いている様子だ。氷のストッパーは溶けてなくなっており、証拠は水滴しか残っていない。


「それじゃあ、あそこから潜り込みますか。私が先に入ります」

「うん。でもどうやって?鍵爪でも使うの?」

「それよりももっと楽な方法ですよ」


楽?と隣で首を傾げるブレッドさんは、次の瞬間に何かに気がついたようだった。私の行動は彼女の気づきと同じ内容だったようで、特に驚きもせずに宙に浮く私を見ていた。


「前も飛んでたもんなぁ」


そう呟く声が聞こえた。

開いている窓に手をかけ、音を立てないようにゆっくりと手前へ引いていく。人が一人入ることができるくらいスペースを用意すると、そこからするりと中に入っていく。


「シロカー、アタシはどうすればいいー?」


小さな、だが私には聞こえるくらいの声で、ブレッドさんは私を呼んだ。


「今浮かせるので、静かにしてくださいね」

「え、何て。…おぉぉぉっっ?」


いつも自身にかけている風の魔法をブレッドさんにかけた。ゆっくりと慎重に、彼女を浮かせてこちら側へ引き寄せる。自分にかけるのとは勝手が違うし、気を抜くと落としてしまう。皿一杯に入れた水を溢さずに移動するように、慎重に慎重に。


「おわぁぁ浮いてる浮いてる!」


…慎重に。


「すっご!アタシ空を飛んだことなんて初めて!」

「静かにしてくださいよ!バレてしまうでしょ!」


興奮するブレッドさんに対して注意、いや怒ってしまった。

あぁ、やっぱり私はまだまだ子供だ。こんなことで心の平静を崩されてしまうんだから。

だが意地だけは通した。魔法をかけたブレッドさんを落とすことなどせず、無事二階まで運ぶことができた。

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