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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
3章
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貼り付けた笑み

翌日。

ブレッドさんには今日一日別行動することを伝え、私は再び昨日の怪しい教会の前にやってきた。見れば見るほど何だか胡散臭い。


「失礼します」


一晩考えた結果、実際に神父や村の大人たちと接触して何が起きているのかを確認してみることにした。

今度は堂々と、一匹の迷える子羊のように扉を開ける。下手にコソコソとすれば怪しまれるだろうから。しかし今回は大人達の姿が見られなかった。いるのは胡散臭い神父が一人だけ。昨日はあれだけたくさんの人がやって来ていたというのに。


「おや、見慣れない方ですね」


金属でできた神の像へ近寄る私を見て神父が声をかけてくる。その表情は笑顔であったが、その裏にある感情までは感じさせないような貼り付けた笑みだった。


「旅の者でして。昨日この村にやって来たのです」

「それはそれは。どうですこの村は?のどかで良いところでしょう」

「そうですね。とても過ごしやすいところだと思います。ただ…」

「何かお悩みですか?」


私の話が終わる前に神父はそう言った。まるで私に悩みがあると最初からわかっているように。もちろんこれはただの演技で、このおじさんに話すような悩みなど何もない。とりあえずこの胡散臭い神父の化けの皮を剥がすため、演技を続ける。


「えぇ、少し。このままで良いのかなと、将来が不安になりまして」

「それはそれは。ですがその不安も当然なものです。先行きが決まっていない旅人ならば、心が曇りがかるのも無理はないでしょう」


まるで何度もそう言って来たかのように、大袈裟な口調で語る神父。そしてそのまま、手を動かして私の視線を目の前の像へと誘導させた。


「せっかくですから、神へお祈りをしてみませんか?それと、ほんの少しの気持ちを見せてくだされば」

「気持ちとは?」

「神への捧げ物ですよ。食べ物や、お金です」


随分俗物的なものが好きな神もいたものだ。神様はそういうものを欲しがらないと思うのだが。というか食べ物はともかく、神が金を集めて何に使うんだ。


「それでは、これを」


適当にリュックを漁り、食べかけの保存食を神父に渡した。神を信じる者ならば不快に思うかもしれないが、生憎私はここに神がいるとは思っていない。それに、私自身は神の存在を信じていない。

内心そう思いながら両手を合わせ、数秒だけ神に祈るフリをする。そして神父の方へ振り返ると、彼の嘘くさい笑みは引きつったものとなっていた。


「ありがとうございます。少し楽になったかもしれません」

「そ、そうですか。それは良かった」


言葉とは逆にちっとも良かったとは思ってなさそうだが、これ以上この場にいるのは得策ではないだろう。昨日ここにお祈りしてた大人達も、金を像の前に置いたらすぐに出て行ってたし。教会内部の探索は後回しにして、私は一旦退却することにした。

そして教会から宿まで戻る道の途中、私は多くの大人達とすれ違った。

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