外見が気に食わない。
「怪しい」
「何が?」
例の教会を後にしてブレッドさんと合流した私は、宿屋の一室で唸っていた。
あの教会が立派なのも納得だ。あれだけたくさんの寄付金を何度も集められるのならば、改修工事の二回や三回だって可能だろう。
それにしても妙なのは、あの教会の異質さを周りの人が認識していなさそうなことだ。無駄に豪華で、不気味ささえ覚えるようなあの建物を普通に利用しているというのは、少々異常な様に思える。
「やっぱり怪しい」
「だから何が?」
大体良い年した大人たちがちょっとした不安を抱えたからといって、お金を払ってまで相談しに行くだろうか。最後の人なんて献立程度の相談だったぞ。お金を払って相談するくらいなら、外食でもすればいいのに。
それにあの神父、何だか胡散臭い。特別変なところがあるわけではないが、外見が気に食わない。
「あれはきっと詐欺師ですね」
「さっきから何の話をしてるの?無視しないでよ。もしかしてアタシのこと嫌いになっちゃった?」
「いえ、別にそんなことはありませんが。何ですか、キャラ変わってませんか?」
この村に着いた時の疲れたアピールといい、何だかブレッドさんの様子がおかしかった。
「あ、その。ごめんね怒った?」
「まさか。寧ろ心配してるくらいですよ」
「そ、そっか。ちょっと安心したかなぁ」
やはり様子がおかしい。どこかそわそわした様子というか、彼女らしくない。少なくともハングを吹き出物男呼ばわりしていた時の面影はまるで見えない。弱々しく、か細い。
「どうしたんです?悩みがあるのなら話は聞きますけど」
「いや、そうじゃないんだよ。何ていうかな、ここに来てからやけにシロカのことが気になって」
私のことが気になるとはどういうことだろう。今更、彼女が私に興味を持つような、特別ない動きはした覚えがない。
「その、シロカが私をどう思ってるのかなって」
「安心してください。恋愛対象としては見てませんよ」
「そうじゃなくて。アタシ、戦闘でもほとんど役に立ってないしさ。シロカに悪く思われてるんじゃないかって、急に考えこむようになっちゃって」
…。
偶々と言えばそれで片付く。だがこれは、あまりにもタイミングが出来過ぎではないだろうか。
ブレッドさんが抱えている感情も恐らく『不安』だ。元々抱えていた気持ちがこの村に着いてから大きくなってしまい、普段と様子が変わるほどの精神状態になってしまったのだろう。
この村の大人たちと、ブレッドさんが持っているこの気持ち。
どうやら、あの教会には何かがあるのかもしれない。




