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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
2章
29/125

コンビ解消になるとまで

(GWの生活リズムが抜けなかったせいで仕事がやばかった)

「疲れた…」


恋人関係の話が終わる頃にはすっかり日が暮れており、私は宿屋の一室でベッドに倒れ込んだ。

ハングさんを連れて帰ってきた時は既に夕方だったこともあり、そろそろ日付が変わる時刻となっている。

ハングさんはあの後に少し考える素振りを見せて、「可能性はないか」「ないのか」「心変わりしたら教えてくれ」と、意外とあっさり引き下がってくれた。決闘の時と違い、こういう時は相手のことを考えてくれるので、根は良い人なのだろう。

それにしても恋人、かぁ。


「シロカー、起きてるー?」


思い出に耽ろうとしていると、扉をノックすると同時にブレッドさんの声。返事をする代わりに、その扉を開けて彼女を中に手招いた。


「驚きました」

「何を?」

「私の部屋に来るってことを、です。あんな話されたら普通来ないでしょう」


同性愛者だと言われれば、自分も恋愛の対象となると考えるだろう。その気がないのに勝手な感情を向けられれば不快になるはず。あの話をした時、コンビ解消になるとまで考えてたくらいだ。


「ま、確かにアタシは男の子が好きだし。シロカのことをそういう風には見れないけど」


そう言いながらも、ブレッドさんは私が座っていたベッドに近づき、隣に腰掛ける。


「でも、シロカだってアタシのことをそういう風に見てないでしょ?」

「何でそう思うんです?」

「何ていうか、今のシロカってそういう感情なさそう」


ドキッとした。自分の心の中を覗かれている感覚だった。


「他人のことは考えてるけど、自分と相手の関係まで考えていない。そんな気がする」

「…そんな風に見えてましたか」

「これでも一緒に旅立とうとしているからね。パートナーのことは見ているつもりだよ」


そこまで言うと、彼女は何かを思い出したかのように手を叩いた。


「あぁ、そうそう。出発の準備ができたからそれを伝えにきたんだ」

「え?でもお金ってどうしたんです。私たちって結局依頼をこなしてませんよね」


畑を荒らした魔物を倒す、それ以外は結局ぎるどからの依頼を受けていない。あれからはハングさんからの決闘を受け、彼を助けただけだ。


「あの吹き出物男がさっきアタシを訪ねてきてさ。お礼って言ってテントやら何やら色々くれた」


そう言うとブレッドさんはいつものようにすてーたすうぃんどうを開き、指を数回スライドさせた。すると、何もない空間から急に組み立て済みのテントが出てきた。


「え、え、え。何で!?」

「何をそんなに驚いて。…あ、そっか。シロカはアイテムボックスを知らないんだっけ」


あいてむぼっくす。そうだ、何か箱があって、リュックを使うより持ち運びに便利だと言う話をした。しかし箱なんてどこにもなかったはずだ。


「これって個人が持ってるボックスにどんなものでも保管できるの。上限はあるけど」

「…本当に何でもできるんですね、すてーたすうぃんどうって」


この世界って、本当に便利だ。先ほどまで思い出に耽ろうとしたことをすっかり忘れ、私はその箱の説明をブレッドさんから受けていた。

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