このまま意気投合してご飯食べて終わりにならないかな
「ここでいいですかー?」
街から少し離れた場所に広い平野があった。ここなら邪魔も入らないだろうし、多少暴れても問題ないだろう。仮に全力を出そうとも。
吹き出物男は手に唾を吹きかけ、それをじっくり馴染ませると背負っていた大きな鎗を構える。その顔にはシワができるほど大きな笑みを浮かべていた。
「見てろよ。このオレの実力を」
「はぁ」
「まぐれのCランクなんかに負けてたまるものかよ!」
審判、というか卑怯なことをしないかを見張る役目としてブレッドさんが私たちを見ている。しかし、その目は決して公平なものではなく、隙あれば吹き出物男に難癖をつけてやろうという考えが見えるような表情だった。
「何でもいいですけど。勝敗はどうやってつけるんです?」
「簡単だ、片方が敗北宣言するまで戦い合う!」
「…いや、それじゃ何もなければただの殺し合いになってしまうんですが」
「オレは死なん。お前には負けるわけがないからな」
「私に人殺しになれとでも?…ブレッドさん、何かいい案ありますか?」
「それでいいでしょ。殺し合いで」
良い訳ないだろ。
「なら攻撃を先に三発喰らったら負け、とかにしませんか。ヒットの確認はブレッドさんで」
「あぁ、それいいかも。攻撃のヒット数ならウィンドウ見れば後から確認できるから不正もし難いし」
便利だな、すてーたすうぃんどう。前々から思ってはいたことだが。
住所だとか討伐履歴だとか…。恐らくまだ私の知らない機能がたくさんあるに違いない。
「吹き出物もそれでいい?」
「オレのことか?」
「他に誰もいないでしょ」
「貴様、オレを馬鹿にしてぇ!」
「名前を知らないなら体の特徴で言うしかないでしょうに!」
「ならオレだってお前のことを、特徴で呼んでやろうか!?」
この二人、なんやかんやで仲良くなれるのではないだろうか。何度目かわからない言い争いを止める気などわかず、どうせならこのまま意気投合してご飯食べて終わりにならないかな、など考えていた。
しかし、現実はそう上手くいかず。やがて二人は互いの顔を見るのをやめてしまった。
「ふん!生意気なクソアマどもが。このガキを殴ったらお前にもオレの実力を叩き込んでやる」
「…はぁ。では、三発攻撃した方が勝ちってことで。ブレッドさん、開戦宣言を」
「わかった。只今より、えーっと」
言葉に詰まって数秒。
「レディー・ゴー!」
適当な宣言で、私たちの戦いが始まった。




