温かく、とても心地良い
昨日の投稿はボロボロでしたね…
クラクラする頭を押さえながら必死の思いで立ち上がる。たった数秒の出来事が無限のように感じられた。
状況はどうなった。今、私はどれくらい離れた場所にいるんだ。残されたブレッドさんはどうなったんだ。使い物にならない頭を無理やり回転させ、何とか気を保つ。
そうしているうちに、千鳥足だった歩き方が次第に真っ直ぐと進むようになっていた。視界にも色がついていく。思考が冷静になると同時に、焦る気持ちが生まれた。
「ブレッドさん!」
どうやら元の場所と距離はあまり離れていなかったようで、少し進むと先程の狼が見えた。
ブレッドさんは狼と交戦していたようだが、状況は決して良くないようだ。傷だらけだし、息も上がっているし、足だって震えている。あと一撃でも喰らってしまえば…。
「させてたまるかぁっ!」
今私が使える限りの魔力を使い最大の火球を飛ばす。その炎は狼を吹き飛ばし、いつものように音が鳴ることもなく消滅した。
…しまった。急に全ての魔力を使ったものだから、凄く疲れてしまった。せっかく動けるようになったのに、また気を失ってし。
──。
───。
『ほら、起きて城花?』
何だか安心する揺れ心地だった。
気がつくと私は誰かの背中におぶられていた。温かく、とても心地良い。
一体誰が、私を背負っているのだろうか?気になったため、その顔を覗き込もうとする。
「あ、起きた」
その顔は。
「印…?」
「え、何。何の話?」
…いや、違う。ブレッドさんだった。彼女は自分が傷だらけだと言うのに、わざわざ私を背負って街まで歩いているのだ。
「おろしてください。もう歩けますよ」
「あのね、それ信じられると思う?目の前でぶっ倒れたのにさ」
「あれは。…突然魔法を使ったので疲れただけです」
「そんな貧弱勇者は黙っておぶられなさいよ」
返す言葉もない。全くその通りだ。
私はその後も彼女に抱きつくようにおぶられながら、街への道を進んでいた。
──それにしても。
まさか、あの人を思い出すなんて。声まで聞こえてきたし。別に、ブレッドさんとあの人が似ているわけではないのに。
「そういえば、さっきの話だけど」
少し考え事をしていると、突然ブレッドさんが話しかけてきた。
「さっきのって?」
「あー、いや。アタシもちょっとまずかったかなって」
何の話かと思ったが、恐らくモンスターを逃すか殺すかの話をした時の話のようだ。
「確かに被害は出てるし、あんなボスまでいるんだったら、徹底的に倒した方が人のためになるんだろうなって思って」
「…そうですよ。モンスターなんて、いない方が」
「そこまで割り切れはできないんだけどね。ただ、さっきのはアタシの方が間違えてたかなって。…ごめんね」
「そんなの…」
私だって、別にあんな言い方しなくて良かった。考えが変わることはないが、ちゃんと説明すれば言い合う必要もなく話を終えれたのかもしれないのだ。私だって、悪い。
今日はボロボロな日だ。変な喧嘩もするし、油断して狼に吹き飛ばされるし、女の子におぶられるし。
…何だか恥ずかしくなって、私はブレッドさんの背中に顔を埋めるのであった。




