異世界のお国事情なんて気にしたところで…
この小説を書き終わったら、あつ森買いに行くんだ…
「お疲れシロカ。流石だね」
戦いを終え、模擬戦を行った部屋を出た私をブレッドさんは出迎えてくれる。何故かホクホクとした温かい笑顔を浮かべていた。
「何ですか、その顔?」
「いやぁ、模擬戦が起きるなんて思わなかったなぁって思ってさ。あはは、気にしなくて良いよ」
「中々難しいことを言いますね」
こちらがちょっと引くくらい笑っているのに、気にしなくていいというのは無理がありますが。そう言おうとした直後、後ろの方から声が聞こえてきた。
「いやぁ、儲けた儲けた」
そう言う男の手には幾らかの紙幣が握られていた。
「クソ、まさかオールXの方が勝つとは。本当にあのガキが昨日の女神だったとはな」
「だから言っただろ?いやぁ、やっぱり女神様だなぁ。オレの懐も癒してくれるなんてさぁ」
儲けた、勝ち負け、懐。そしてブレッドさんのお世辞にも良い笑顔とは言えない表情…。
「あぁ、ギャンブルですか」
「あは、バレた?」
話を聞くと、模擬戦ではどちらが勝つかの賭けが行われるらしい。基本的にチャレンジャー側は実力があるため、賭けが成り立つのだとか。試験官の男がショーだと言っていたのは、こういう部分もあるのかもしれないな。
ただ今回はチャレンジャーである私が急遽現れたこと、その私のすてーたすが低いことが原因で、私が勝った時の賭け金の倍率が凄いことになっていたらしい。一応昨日町に襲いかかってきた魔物を倒したことで女神様がいるとかいう噂は回っていたが、その女神がどんな人間なのかなんてまでは知られていなかったしな。
しかし、仮にも国から認められている施設がギャンブルなんてやって良いものなのだろうか。色々問題がある気がするが…。まぁ、異世界のお国事情なんて気にしたところでどうしようもないか。
「それで?私に賭けたブレッドさんはいくら儲けたんですか?」
「一週間は食費に困らないくらいかなぁ。もう少し稼がないと、外には出れないかな」
「まぁ、テントとか薪とか、それらをしまうリュックとか必要ですものね」
「え、リュック?」
そう言うと、ブレッドさんは不思議そうな顔をして私を見た。まるで初めてその名前を聞いたみたいに。
「リュックですよ。持ち物束ねたりするのに必要ですよね?」
「…ん?あぁ、あれか。それだったらアイテムボックスさえあればいいんじゃないかな?」
「は?ボックス?箱?何言ってるんですか。箱なんて持ち歩きにくいでしょ」
「え?」
「え?」
…またこの世界特有の言葉のすれ違いだろうか。前にもうぃんどうがどうのって言ったときに似たようなことが起きた気がする。
ともかく、この世界ではリュックよりその箱の方が便利だと言うらしい。買う物が一つ変わっただけじゃないか。何てことはない。
「とりあえず、大体は理解したつもりです。それでこれからはどうしますか?まだ明るいですし、依頼ってのを受けてみましょうか」
「あ、そうそう。シロカが戻ってくるまでに、何か良い感じの見繕ってきたよ。あれとかどうかな」
そう言ってブレッドさんが指差した依頼書には、…相変わらず文字は読めないが、動物の絵のようなものが描かれていた。




