ドジというか間抜けというか
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取り乱しすぎたなぁ。
ディアの尿の時に相手の主張を全否定してからというもの、常にそのことばかりを考えてしまっている。私が幻覚を乗り越えられなかっただけで、相手の言うことも一理あるのだ。
久々に夢以外でシルシの姿を見てしまい、動揺していたということもあるのだろう。私にとって彼女はそれだけ重要な存在だった。
だとしてもなぁ、取り乱したよなぁ。と、結局そういう思考へと戻ってしまうのだった。こんな時に予想外なことが起きれば少々パニックになるかもしれない。
我ながら心が弱いなぁと溜息を吐き、トボトボと道を歩く。実に静かだ。いつもそこにあるはずの声が聞こえない。
…あれ、そういえば私はどこを歩いているんだろう。
ここ数分の記憶がない。考え事をしていたせいだろうか。そういえば最初は整備された道を歩いていたはずなのに、今の足元には草が生い茂っている。
…これはもしかして、ブレッドさんと逸れてしまったのか。
あぁ、何やってんだ私は。ドジというか間抜けというか、率直に言って愚かだ。土地勘も何もないんだぞ。合流どころか、下手したら人がいるところに出られるかも危うい。
一体何でこんなことになったのかと自分を呪うが、そうすると結局先日の取り乱しを思い出し、結局負のスパイラルに陥ることとなった。
「あ、いや。こんなことばかり考えてる暇なんてない」
まさかこんなことになるとは思ってなかったのだ。食料にも限りはあるし、一つ一つの判断が生死に繋がる。切羽詰まった状況下であることを自覚した今、私がすべきことはただ一つ。何としてでも生き繋ぐことだ。
とりあえず来た道を戻ろう。記憶はないが、恐らく真っ直ぐ歩いていたに違いない。となればこのまま後ろの方へと歩けば、少しは見覚えのある景色にだって会えるはずだ。
…そう信じていたのだが。
「これは違う。絶対に違う」
段々と視界に緑が増えていく。先ほどまでは足元にしかなかった植物も、今は天を覆うレベルで至る所に生えている。途中でおかしいと思ったが、記憶にないのだから進んでみようと思ったのが大きな間違いだった。
「野宿かなぁ…」
魔法は使えるし、一応私が背負っているリュックサックに自分用の寝袋は用意してある。寝床については心配していないのだが、問題は食料の方だ。動物を狩るにも、この世界では私が命を奪った時点で消滅してしまうため、狩りをしても食べ物が増えない。だとすると植物を採取するしかないが。
「この前の尿の件もあるしな…」
後から聞いた話だが、あのディアには街の周辺で採れた毒キノコを食べさせていたらしい。そんな話を聞いてしまえば、毒に慎重になってしまうのも仕方がないだろう。元々私は植物に対して詳しくないし、別世界なら尚更だ。
リュックサックの中を除き、以前購入した非常食があることを確認する。恐らく三日は持つだろう。ならばその三日の間で何とかしようと意気込み、今日はそこで眠りについた。




