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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
2章
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何で観客とかいるんですか

もうすぐ来年度なんですね…

「流石にオールXの人に仕事を任せるわけには…」


そう言って苦笑いをする依頼受付所のお姉さん。

先ほどの免許発行は一応問題なく行え、私は自分の免許証を手に入れることができた。

ただし登録されていた時のすてーたすが記載されており、今こうして依頼を受けようとすると渋い顔をされてしまう。そりゃそうか。ぎるどの仕組みは未だに分からないが、実力のない人に仕事を任せて死なれでもしたら良い気分にはならないもんな。


「あの、でも。この子って凄いんですよ。昨日のモンスター退治で活躍した女神なんです」


横ではブレッドさんが抗議の声をあげている。そう言って通じるものなのだろうか。あと私は神になったつもりはないです。


「あぁ、あの有名な…」


と、お姉さんは表情を驚きに変える。まさか昨日の今日で噂がそんな噂が浸透しているなんて、思いもよらなかった。


「ね、ね。お姉さんも実力は知ってるでしょ。仕事、受けさせてくださいよ」

「そうは言われましても、規則というものがありまして」

「規則には例外も必要ですよ」

「例外を作るのはわたしではなく国ですので」


色々話してはいるが、話は平行線のまま進まない。仕方のないことだ。一度決まりを破ったら、規則なんてすぐにボロボロになってしまう。

悲しいことだが、ここは諦めるしかないだろう。そう思って出口に行こうとする私の首根っこを、ブレットさんに掴まれる。


「ぐぇ」

「なら、ならせめて!模擬戦でこの子の実力をその目で見てから判断してくださいよ!」


何を言っているのか。模擬戦だろうがなんであろうが、そんなことで例外なんて作れるものか。


「…まぁ、そういうことでしたら」


え、良いの?


─────


後から話を聞いたところ、ぎるどというものにはランクがあるらしい。それまでの功績に応じて上がっていき、自らの活躍、強さをアピールできるということだ。また、強さや実力の指標となるため、ランクを基準に仕事を割り振られることも多々あるらしい。

だが免許紛失や更新忘れなどで再取得となった場合、ゼロからのスタートでは不都合な時がある。

そのためにあるのが模擬戦制度であり、ランクごとに存在する試験官に勝てば、これまでの功績などがなくても一気にそのランクを名乗ることができる。

つまりは特例、本当は実力があるのにランクが低い人のための救済処置であるとのことだ。

本来ならきちんとした手続きをしないといけないらしいが、今回は私が昨日活躍していたことと、何より模擬戦を申し込んでいたはずの人がたまたま風邪で休みだったことから、その枠を私が使うこととなった。幸運とは思いもよらぬところから舞い降りるものだとは、よく言ったものだ。


「それで…」


現状を振り返った上で、周りの景色に目を向ける。


「何で観客とかいるんですか…?」


模擬戦を行うための部屋に入った私を囲んでいたのは、一人の男と柵越しにいる観客達だった。まるで闘技場だ。

その中にはブレッドさんもいる。何やってるんだあの人。


「悪く思わないでくれ。模擬戦は安心して観れるショーでもあるんだ。それに、ギルドの収入源にもなっている」


試験官と思われる筋肉質の男がそう言った。なるほど、あくまでスポーツ観戦と同じ感覚ということか。確かに命のやり取りをしないで、人と人の本気のぶつかり合いが観れるとなれば、人気のあるショーと言われても納得出来るかもしれない。

一人納得していると、後ろからホイッスルの音が鳴った。私が入ってきた扉から、レフェリーだと思われる男が入ってくる。


「それではルールをご説明します。HP(ヒットポイント)が三桁、999以下になったら、又は行動不能になった方を敗北とします!攻撃や魔術に制限はありません!」


ひっとぽいんとというのが良く分からないが、ようは相手を行動不能にまで追い込めば良いということだろう。それならば幾らか手は思いつく。

しかし、魔法に制限がないというのが気になるな、柵の向こう側の人にまで魔法が届いてしまったらどうするんだろう。


「それでは両者、準備はよろしいですか!」


…とりあえず、そこら辺は後で考えよう。戦ってみたら意外とすんなり終わるかもしれないし。


「よろしいようですので、只今よりチャレンジャー・シロカによるCランク免許証発行の為の模擬戦を行います!レディー…ゴー!」


再び鳴るホイッスルの音と同時に、観客の声が湧き上がる。あの人数だ、あまり無様な敗北は見せられないな…。

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