私この世界の字、読めないので
これ投稿した後すぐに試験なんですよね…
「まず当分は、お金を稼がないとね」
あの話のあと、結局二人して二度寝した私たちは、昼過ぎにその宿屋の休憩スペースに座りながら今後の計画を練っていた。
「誰でもできる仕事ですか。流しでもします?」
「え、シロカって音楽できるの?」
「できませんけど」
「何で言ったの…」
ふと思いついたから言ってみただけで、理由なんてない。何だか申し訳ないことしたなぁと思う。
「それじゃ、やっぱりあれしかないか」
「何です?」
「アタシ達だからできること、だよ」
そんな抽象的な言葉を言ったブレッドさんは、私の手を握って宿屋を飛び出した。
「冒険者ギルドへようこそ!」
辿り着いた先は『ぎるど』なる場所だった。話を聞いていると、どうやら国やら地元やらで依頼された仕事を、各地の冒険者がこなすための物らしい。複数の地域で同じ依頼をこなしたらどうなるんだろうかと思ったが、具体的なシステムはブレッドさんも知らないとのことだ。
ともかく、ここで依頼をこなしていけば報酬としてお金が手に入るということらしい。依頼の内容は洞窟の探検やらモンスターの討伐やら、ある程度体力が必要なものが多かった。なるほど、それで『アタシ達だからできること』というわけか。
「最初は免許証の発行からだから。とりあえずこっちきて」
「え、そんなのから始めないといけないんですか。私住民票も何も持ってきてないですよ」
「あぁ、その辺は大丈夫」
何が大丈夫なのか、と問いただす前に人混みを縫うように通り抜けていくブレッドさん。そんなにハイペースで行かれても、私は迷ってしまうだけなのだが。
結局一人ぼっちになった私は、道行く人に尋ねるなり案内板を見るなりで何とか免許発行のスペースへ行くことができた。その場にいたブレッドさんは私に気づくとこっちに向かって手を振る。
「シロカおそーい」
「勝手に進んでって遅いもへったくれもないでしょう。それで、大丈夫って何のことなんですか」
「これだよ、これ」
そう言いながら取り出したのは一枚の紙だった。内容はというと、…私はこの世界の字が読めないので詳しくはわからないが、えっくすが沢山付いていることから恐らくすてーたすなのだろう。
「これ、シロカのステータス。昨日教会で鑑定士に見てもらった後に刷ってもらったんだ。ほら、日付のところ昨日の日時になってるでしょ」
読めないからよくわからないが、そうなのだろう。なるほど、すてーたすは個人情報の塊だものな。それを見せれば良いのか。
それにしても鑑定の際に同席していたとはいえ、その個人情報の塊を他人が勝手に刷っても大丈夫なんだな。あれかな、家族とか親戚とかに思われたんだろうか
「じゃあ発行しに行こうか。アタシも隣にいてあげるからさ」
「ありがたいんですが、多分書類系は全部任せると思いますよ。私この世界の字、読めないので」
「あー…。まぁ大丈夫でしょ、任せて任せて」
ブレッドさんと共に、私はインフォメーションへと歩いていき受付のお姉さんに話しかける。免許発行を行いたい旨を伝え、うぃんどうを開くかわりに先ほどの紙を渡すと、お姉さんは赤子以下の数値の羅列を見て目が点になっていた。




