幻覚でも
すみません、完全に本日の更新を忘れておりました…。
日付感覚が消えてまずいです。
───
「…お母さん?」
寝ている途中で胸が悪くなり、再びトイレでひとしきり胃の中のものを吐き出した後。廊下の向こうで忌々しい女性の影が見えたような気がした。
まさか、そんな。ここにアタシの母親がいたというのか。動揺した心でも、目の前に起きた謎に対しても正確に視界を捉えていた。アタシの母親に似た女性は廊下の向こう側へと向かっていく。
「待って、お母さん」
会える?母に、会える?
人生の目標に近づいたからか心臓の鼓動が早まる。視界にも何故かカラフルな線がかかっていた。
女性が向かった方角へと向かい、彼女の影を追いかける。彼女は暗闇の中へと潜っていった。それはやはりアタシに会いたくないからなのか。それともただの照れ隠しなのだろうか。
「お母さん!」
見えもしない暗闇の中へと手を伸ばした。しかしその手は何も掴まず。気がつけば、アタシは誰もいない廊下の中を一人で立っていた。辺りを見渡すが、先ほど感じた女性の姿は影も形もない。
疲れで幻覚でも見たのだろうか、と部屋へ戻るとそこには剣を構えて何かをぶつぶつと呟いている少女の姿があった。シロカだ。
「ちょっと何してんの!?」
暗くて良くは見えなかったが、ただならぬ様子だという事は雰囲気で伝わった。アタシは剣を振り回す直前のシロカ体を押さえ、何とか平静を取り戻そうとした。
「誰!?」
「アタシだよ、ブレッド!」
「何を言ってる!?」
馬鹿。こっちの台詞だ。
普段見せられている戦闘のように、シロカは小さな体の癖して振り解かれそうな力で腕を動かす。部屋を傷つけないようにするのが精一杯だ。
「ちょっと、落ち着いて!」
「離して!誰かが私を陥れようとしてる!」
「本当に落ち着け!」
ダメだ、完全に錯乱している。
仕方がない。押さえる箇所を腕から首に移し、そのまま無理やり絞め付ける。あまり強めず、だが暴れることのないような力加減でその細い首を絞めた。
やがて彼女の体から力は抜けたが、アタシには疲れと罪悪感が大きく残るのだった。




