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「セバス!ではいってくるぞ!」
「お お待ちください!坊ちゃま!」
「待てぬ!遅いぞ!あははは」
6歳頃だろうか 坊ちゃまと呼ばれる男の子が 召使いというよりは執事 家令であろう服装の男性の前を走っていく
坊ちゃまと呼ばれるだけあって 中々の服装 布の良さと仕立ての良さが一目でわかる物を着ている
顔立ちも 街に行ったら確実に攫われるだろうレベル 両親共に美形なのだろう
「セバスチャンさん!俺行きますから!」
「おおマーカス!頼むぞ わしゃもう足が……!おわっ!」
「大丈夫ですか?お大事に!行ってきます!」
「くれぐれもだぞ!」
「わかってまーす」
フードを被っていて ローブに隠れてはいるがよく見れば帯剣している
それほどの護衛が付く坊ちゃま
「セドリック様!俺も行きますからぁ~」
「マーカスか!よいぞ帯同を許可する」
坊ちゃまに軽々と追いつき
「ありがたき幸せに存じます」
と腰を折り丁寧に挨拶をする
二人は歩いて移動しながら
国境付近に来ていた
そうここは
神聖ザルツ帝国とドルトムント国の境目
坊ちゃまはドルトムント国第一王子
王太子のセドリック ドルトムント
略式の名前である
母であるメイヤ王妃の療養に付き添って滞在している メイヤ妃は半年程前に
セドリックの妹クリスティーネを出産していた
遊びたい盛で 窮屈な王宮から出てきたのだ 王宮に比べて監視の目の少ない離宮
しかも豪商が住むかの如くな住まいである
が王宮よりはやはり劣る 周りの住人も王族とは分かっておらず
「お金持ちの避暑???」と思っていた
「このあたりは隣の帝国になるのか?」
「どうでしょうか ハッキリとした国境線は無かったように思いますが」
「そうなのか でも誰も居ないから怒られないだろう」
「はぁ」
剣の腕は立つが知能は伴っていないマーカス 微妙な返事である
「もう少し先まで行ってみるぞ!」
そう言って走り出してしまうセドリック
「あ!セド…坊ちゃま!」
危うく名前を呼んでしまいそうになり
坊ちゃまに変更 名前が出てしまうと
誘拐の可能性が高まるのだ
「坊ちゃま このあたりでそろそろお帰りになった方がよいかと思われますが?」
「いやもう少し行きたい」
「国境線は越えていると思いますよ」
「そうかぁ 仕方ないな」
二人でもと来た道に切り替える時に
「誰だ!」
草むらの方から声がして こちらを見て男が立っている
「どうしたの?」
幼い声が聞こえて来るが 声だけで姿は見えない
「人が来たようです そのままで動かないで下さい」
小声で話す
「貴様こそ誰だ!」
マーカスか剣に手をやりセドリックを後ろに庇い問いかけると
「私はこのあたりに住む者だ お前達は見かけない顔だが 旅の者とも思えない子供の服だ 国境を越えてきたのか!」
こちらも剣に手を置いているロナウド
「セドリック様 少々不味いですね
逃げますか?」
小声で話しかけると
「その方!すまぬ 国境が分からず越えてしまったようだ 見逃してもらえないだろうか」
堂々と大人に話すセドリック
「ほう 中々胆が据わっておられるようだ」
「では 良いだろうか?」
「そうですね このままお帰りください
但し次は お気をつけにならないと 他の者に見つかると少々面倒です 宜しいですか?」
「あぁ貴公の気遣い感謝する 行くぞマーカス」
「はい坊ちゃま」
ロナウドが見守るなか セドリック達は
まわれ右で帰っていく
「マーカス……」
少し覚えのある名前をロナウドは呟き
「フィー様 私たちも帰りましょうか」
「もういない?」
セドリック達のことを聞いているのだろう
「ええ もう姿は見えませんよ お袋が心配するので帰りましょう」
「うん ロナウド抱っこ」
少し怖いのかいつもなら走っていくところだが 抱っこをせがんできた
しゃがんでフィーを抱っこしながら
「少し怖かったですね 大丈夫ですよ
俺がついてますからね」
「うん ロナウド安心」
フィーはロナウドの首をギューッっとする
ロナウドもフィーをギューッっと抱きしめる




