7.守るために……
「……じゃあ、またね!」
マリアを大学の門の所まで送ったアキが、マリアにそう声を掛ける。
「今日はありがとう!」
マリアは微笑みながらそう言葉を綴ると、その大学を出て行き、大学に近い最寄りの駅まで歩きだした。
大学近くの最寄りの駅に着くと、マリアのスマートフォンがメールの受信を告げる音が響く。そのメールを確認すると、メールを送ったのがユウだと分かり、そのメールを開ける。
『仕事終わったよ!今、何処にいるの?』
ユウからのメールを見て、マリアがユウに電話を掛ける。コール音が鳴り響き、ユウはすぐに電話に出た。
「もしもし。今、大学の近くの駅にいるよ」
『そうなんだね。今日良かったら駅で合流して夕飯を食べに行かない?』
「うん、いいよ」
『じゃあ、また到着する時間を教えてね』
「はーい」
マリアがそう返事をして、電話が終わる。
そして、マリアはやってきた電車に乗り込み、ユウが待っている駅に向かった。
***
「……はぁ~♪美味しかったね!」
夕飯が食べ終わり、マリアが満面の笑みでそう言葉を発する。
「アキさんとはいろいろ話せた?」
「うん!あのね……」
しっかりとお互いの手を繋ぎ、ユウとマリアがおしゃべりしながら帰り道を歩いている。
その時だった。
マリアが急に足を止めて小刻みに体を震わせる。
「マリア?どうしたの?」
急にマリアが足を止めて震えだしたので、ユウが心配そうに声を掛ける。
マリアの表情は怯えたウサギのように真っ青になりながら、カタカタと小刻みに震えていた。何かを見つけたのか、視線をある方向に向かせたまま怯えている。
「あ……あ……」
マリアの口から声にならない声が発せられる。その表情からは恐怖が伺えており、マリアの額からは冷や汗が流れる。
ユウがマリアの視線の方向に顔を向ける。
「……っ!!」
ユウがマリアが見ているものが何か分かり、愕然となる。
「マリア……、あの人が例の人……?」
ユウの言葉にマリアが恐怖で怯えたまま頷く。
視線の先にいたのは、薄汚れた服を着ている年配の男……。マリアにストーカーのような行為をしているあの男だった。
マリアからその男の特徴は聞いていたので、ユウはすぐにその男が例の男だという事が分かり、ユウが怯えているマリアを強く引き寄せながら、その男を睨みつける。
ストーカーのような事をしているその男は、マリアたちを見ながらニヤニヤと気味悪い笑顔を浮かべて、じっとマリアたちを見ている。
「マリア……ここで待っててくれる?」
その男がこのまま後を付いて来て、自分たちの住んでいる場所が分かったら危険だと判断したユウが、その男を追い払うためにマリアに小さな声でそう言葉を掛ける。
マリアはユウの言葉に頷き、ユウはその男の方に向って駆けだしていく。
ユウが男の方に向って駆けだしてきたので、男がその場から慌てて逃げようとする。
「待て!!!」
ユウが逃げる男にそう声を発する。
男は足が少し悪いのか、右足を庇いながら必死で逃げていく。
男が河川敷の方に向って走っているので、ユウがその後を必死で追いかけ始めた。




