3.恐怖の扉
買い物リストが書かれている紙を手にマリアがそう声を発する。
そして、買い物を済ませてスーパーを出ると、いつものように帰り道を歩き始める。
「……っ!」
マリアが後ろから何かを感じて小さく声を出す。
感じたのは纏わりつくような視線……。
その視線が怖くてすぐに後ろを振り返る事が出来ない……。
(また……)
マリアが恐怖で顔を震わせながらその場に立ち尽くす。
そして、その視線の正体を確かめるのに、恐る恐る後ろを振り返る。
「……っ!」
その視線が自分が思っていた人であることが分かり、小さく声を上げる。
マリアの見つめる先に立っているのは薄汚れた服を着ている少し年配の男だった。マリアを少し離れたところでじっと見ながら不気味な笑みを称えている。
(逃げなきゃ……)
マリアが心の中でそう呟く。
そして、駆け足でその場を後にして急いでアパートに戻る。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
息を切らしながらアパートに入り、玄関の傍に買ってきたものを置いて乱れた息を整える。
(なんでこんな目に……)
マリアが心でそう呟く。
その薄汚れた服を着ている男と面識はない。だが、ある時期から頻繁に見かけるようになり、その男がじっと自分を見つめているのが分かった。
それも、不気味な笑みを称えながら、何かを狙っているように、じっとマリアを見ている。近寄ってきたことはない。いつも少し離れた場所から見ているだけで手を出されているわけではない。
(本当……気味悪い……)
マリアが心でそう呟く。
(さすがにここまでは付いて来ていないよね……?)
ふと、そんな事が頭をよぎり、部屋の窓の方へ足を運ぶ。そして、カーテンを少し開けて外の様子をそっと窺う。
「ひっ……!」
アパートの外に男がいた。そして、男は二階の窓をじっと見つめている。一瞬、目が合ったのではないかと心配になる。
「あ……あ……」
マリアがその場に崩れながら涙を流す。
まさかここまで追ってくるとは思わなかったので、自分の住んでいる場所が分かってしまったことに、愕然として恐怖で固まる。
(どうしよう……どうしよう……)
恐怖で涙を流しながら心でそう呟くが、どうしたらいいかが分からない。
しばらく静寂が流れる。
そして、どれくらいの時間が過ぎたかは分からないが、少し落ち着きを取り戻し、マリアが窓の外をもう一度そっと見る。
男がその場にいないことが分かり、マリアの口から安堵の息が漏れる。
そして、いつものように夕飯の支度に取り掛かった。
***
「……とりあえず、誰かから恨みを買っていないか調べよう」




