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羽を失った鳥は愛を貫く  作者: 華ノ月


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26.逃げる鳥に忍び寄る影



「次は滑り台だよ!」


 ブランコを堪能したマリアが今度は滑り台の方に駆けていく。


 マリアが滑り台の階段を楽しそうに駆け上がり、滑ってはまた階段を駆け上り、滑っていく。


 その様子をユウは微笑ましそうに見つめながら、滑り台の傍で立っていた。


「ねぇ!ユウ!新婚旅行のこと覚えてる?」


 マリアが滑り台の上からユウにそう声を掛ける。


「うん。覚えているよ」


 ユウが笑顔でそう応える。


 その時だった。


「あら!こんにちは!」


 急に声が聞こえて、声のした方向にユウとマリアが顔を向けると、そこには着物姿の和食屋を営んでいる店主の奥さんが笑顔で立っていた。




***


「……食事で利用するとしたらこの辺りになるのですが……」


 その頃、モトキ警部とサザワ刑事はある地域に到着して聞き込みをしていた。この辺りで店で食事となるとこの場所まで来ないとあまりないことが分かり、二人がここに食事に来ている可能性があると踏んで、この地域で聞き込みをしていた。お洒落なイタリアンレストランや食事もできるカフェを中心に聞き込みをしているが、どの店もユウとマリアは見たことがないという。


「あまりこの辺りには来ていないのでしょうか?」


 サザワ刑事が二人の目撃情報が得られないので、そう言葉を綴る。


「とりあえず、一旦腹ごしらえをするか」


「そうですね」


 時間がお昼を過ぎていたので、近くの安そうな店を探してそこの店に入る。


「へい!いらっしゃい!」


 その店を営んでいる店主が入ってきたモトキ警部とサザワ刑事に笑顔で迎える。


 そして、二人はこの店で一番安いかけ蕎麦を注文して、料理が運ばれてくるのを待つ。しばらくして、かけ蕎麦が運ばれてきて、店主が二人の前にかけ蕎麦を置く。


 そして、二人の顔を見て店主が声を掛ける。


「お宅らも見たことない顔だね。仕事か何かで来たんかい?」


 店主がモトキ警部とサザワ刑事の顔を見て、そう言葉を綴る。


「……『も』?……他にも最近見ない顔を見ているんですか?」


 店主の言葉に違和感を覚えたサザワ刑事が店主にそう尋ねる。


「あぁ!最近、よく来てくれる夫婦でね。奥さんの方は愛嬌の良い人だよ。まぁ、旦那さんの方は奥さんの愛嬌の良さがちょっとネックみたいだけどな」


 店主が笑いながらモトキ警部たちにそう話す。


 その言葉に二人は顔を見合わせて頷き合う。


「すみません、その夫婦ってこの二人の事ですか?」


 サザワ刑事がスーツの内ポケットからユウとマリアの写真を取り出して店主に見せる。


「あ?あぁ、確かにこの二人だよ?知り合いかい?」


 店主が頭にはてなマークを浮かべながら、二人にそう尋ねる。


「……すみません、ちょっとお願いしたいことがあるのですが……」


 サザワ刑事がそう言って、店主にある事を話しだした。





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