25.絶望の中のひと時
鑑識からの報告を受けて、モトキ警部がそう声を発する。
そこへ、郵便局の件を調べていたサザワ刑事が戻って来て、モトキ警部に声を掛ける。
「モトキ警部!最近使われた場所が分かりました!」
どうやら定期的に同じ郵便局で降ろしている形跡が見つかり、ユウとマリアがその場所にいると踏んで、その場所を地図で調べると、車に乗り込み、その場所に車を走らせる。
「……例の事件、指紋を取る必要がありそうだな」
車の助手席に乗っているモトキ警部が、ある件に関して確証を得るために、そう言葉を綴る。
「何か方法を見つけて指紋を採取しましょう」
サザワ刑事が運転しながら、そう言葉を綴る。
二人が話しているのはシマノの遺体が見つかった件に関しての指紋の事だった。
***
「……ふふっ。この公園ってあまり人が来ないからいいね」
マリアがブランコに座って揺らしながら、隣に立っているユウにそう声を出す。
「そうだね」
その言葉にユウが微笑みながら応える。
「ユウ!押して!」
ブランコに座っているマリアが、子供のようにはしゃぎながらユウにそう声を掛ける。
「それっ!」
ユウがマリアの背後に回り、背中を強く押す。
マリアの乗っているブランコが勢いよく前後に揺れ出す。
「もっとだよ!」
「オッケー!」
マリアの言葉にユウがマリアの背中を何度も押す。
ブランコに揺られながらマリアが楽しそうな声を上げる。
幸せなひと時を味わいながら、ブランコが何度も揺れる。
これが本当の幸せな日々ではないと分かっていても……、
今だけは……、
今だけはその時間を……、
そのひと時を思い切り楽しむ……。
そのひと時がいつか終わりを迎えると分かっていても……。




