19.聞き込み
「……では、急に来なくなって連絡も取れないという訳ですね?」
「はい……」
モトキ警部の言葉にユウが勤めている会社の社長がそう応える。
「ユウ君は真面目な人でね。今まで無断欠勤なんて一度も無かったんです。何度も連絡をしているのですが、最近は繋がる事も無くなってしまいまして……。一体何があったのかも何も分からなくて心配しているんです……」
社長がそう言葉を綴りながら深く息を吐きだす。
社長の話では、連絡を何度かしても電話に出てくれないのか、応答が全くないという事だった。そして、いつ頃か分からないが、電話をしても、電源が入っていないというアナウンスが流れて、メールも送ったが、返信は一切なく、心配しているという話だった。
「ユウさんと仲が良かった人は誰か居ますか?」
「そうですね……。恐らく同僚のクロイ君ではないでしょうか?」
モトキ警部の言葉に社長がそう言葉を綴る。
そして、クロイを呼んでもらい話を聞くことになった。
しばらくすると、作業着姿のクロイがその場にやって来て、モトキ警部とサザワ刑事に対面するように腰を掛ける。
「あの……俺に聞きたいことって何でしょうか……?」
警察が自分に聞きたいことがあると聞いたので、クロイは少し恐縮しながらそう言葉を綴る。
「クロイさんですか?ユウさんと仲が良かったそうですが、ユウさんから何か相談ごとをされたことはありませんか?」
サザワ刑事は相手が恐縮しないように気を付けながら、優しい口調でクロイにそう声をかける。
「相談って言うのはされたことなくて……。むしろ俺の方がよく相談に乗って貰っていたくらいでしたし……。すみません……」
クロイがサザワの言葉に特に答えることが出来なくて、申し訳なさそうに頭を下げる。
「いえいえ。では、ユウさんの事で何か知っている事はありませんか?例えば、奥さんの話とか……」
「えーと……。まぁ、敢えて言うならユウは奥さんが大好きすぎて仕方ないって感じですかね?」
サザワ刑事の言葉にクロイが少し考えてそう応える。
「そうなんですね。例えばどういうところが好きと言っていたのですか?」
「ユウの話だと、奥さんは愛嬌がある上に人に笑顔で優しく接するから、それが可愛いところでもあるけど、心配な面でもある……みたいなことは話していましたよ?俺も一度、奥さんに会った事があるんですけど、可愛らしい奥さんでしたね」
サザワ刑事の言葉にクロイがそう言葉を綴る。
「他に何か話していませんでしたか?」
サザワ刑事が他に何か聞くことが出来ないかと思い、クロイにそう言葉を掛ける。
「特には……。いつだったか、俺が彼女とのことで相談したいから半分強引にユウと飲みに行ったんですけど、『早く帰らせろ!』って言うオーラが凄かったですよね。なんか、早く奥さんの所に帰りたいって言う気持ちが凄く伝わっていましたよ」
クロイの言葉にモトキ警部とサザワ刑事はどう返事をしていいか分からない。
そして、これ以上は情報が得られないと感じたのか、モトキ警部とサザワ刑事はお礼を言って、会社を出た。
そして、そのままマリアの友人であるアキに話を聞くために、アキが勤めている大学に車を走らせた。
***
「……う~ん……どうしたものか……」




