13.鍵の真実
サザワ刑事がその女性が映っている写真を見せながら、モトキ警部にその事を伝える。
「住んでいる所は分かるか?」
モトキ警部がその写真を見ながらそう声を発する。
「今は結婚をしていて、旦那さんとこのアパートに二人暮らしみたいです」
サザワ刑事が地図を広げてそのアパートに指を差しながら、そう言葉を綴る。
「よし、行くぞ」
「はい」
モトキ警部の言葉にサザワ刑事が返事をして、そのアパートに向かう。
そして、アパートに着いてインターフォンを鳴らしたが、その部屋からは誰も出てこない。
「留守ですかね?」
応答がないことにサザワ刑事がそう言葉を発する。
「とりあえず、また改めて話を聞きに来よう」
モトキ警部の言葉にサザワ刑事が返事をして、その場を後にする。
そして、もう一つの事件である河川敷で発見された男の事を調べ始めた。
今のところ、河川敷で発見された男はホームレスだったからか、身元が分かるようなものが何もなく、名前も正確な年齢も分からない状態だった。
なので、モトキ警部とサザワ刑事は訪れたアパートには再度改めて訪れることにして、身元不明の男の事を調べるために、署に戻っていく。
シマノのノートパソコンから出てきた女性の写真……。
わいせつな行為をしているように見せるために顔を変えられていた写真……。
顔を変えられていたその写真の女性は、紛れもなくマリアの顔をしていたのだった……。
***
「……あ、起きた?」
のそのそと起き上がってきたマリアにユウが声を掛ける。
「おにぎり買って来たけど、食べる?」
ユウがスーパーで買ったおにぎりを手に持ちながら、マリアに声を掛ける。
マリアはぼんやりとしながら、そのおにぎりを受け取り、口に含む。そのスーパーで手作りしているおにぎりらしく、海苔がお米の温かさで柔らかくなっており、塩も効いていて、マリアがそのおにぎりを頬張っていくと、寝ぼけている頭が少しずつ覚醒していく。
この町に来てから、ユウとマリアは穏やかな日々を過ごしていた。
だが、例のストーカーのようなことをしていた男をユウが殺してしまった事には、お互い一切口にしない。
そして、初めて行った和食処が美味しかったこともあり、ユウとマリアはたまにそこに足を運んでいた。なので、店の店主もユウたちの事を覚えて、時にはサービス料理を出してくれることもある。
この部屋にもキッチンはあるのだが、コンロは錆び付いており、鍋やフライパンと言った調理器具は一切なかった。勿論、電子レンジやオーブントースターも無いので、近くのスーパーで暖めなくても食べられるものを買ったりして、食事を済ませていた。
「今日の夕飯は例の所に行こうか」
「うん!」
ユウの言葉にマリアが笑顔で返事をする。
そして、その時間が来るまでユウとマリアは部屋の隅で肩を寄せ合いながら穏やかな時間を過ごす。
こんな生活が長く続かないことは分かっていた……。
それでも、少しでも長くこの時間が続いて欲しいと願ってしまう……。




