10.「逃亡」という名の旅の始まり
「……また事件ですね」
朝、犬を連れて河川敷を散歩していた女性の通報で、モトキ警部とサザワ刑事が現場にやって来た。
殺されていたのはホームレスの男だった。ナイフが刺さったままだったので、そのナイフの指紋を調べる。
「………あれ?」
現場に来て指紋を採取していた鑑識が調べた指紋を見て頭にはてなマークを浮かべながら、声を発する。
「どうした?」
鑑識の言葉にモトキ警部が尋ねる。
「いや……それがこの被害者の指紋とナイフに付着していた指紋が一致しているんですよ」
「どういうことだ?」
鑑識の言葉にモトキ警部が頭にはてなマークを浮かべる。
「自殺……なのでしょうか?」
指紋が一致している事から、サザワ刑事がそう口を開く。
「だが、揉み合ったような形跡がある……。誰かがその場にいたのは間違いないだろうが……」
状況がよく分からなくて、モトキ警部が困った顔をする。
現場には野次馬が溢れており、サザワ刑事がその野次馬を追っ払っていく。
その時、その野次馬の中から声が聞こえた。
「やっぱり死んでいるみたいだぜ?」
「殺されたのって昨日のあの時の奴かな?」
そんな会話がサザワ刑事の耳に入り、その会話をしていた若い二人組の男に話を聞く。
その二人組の男たちから話を聞いたところ、昨日の夜に二人の男が言い争っている声が聞こえて、その内の一人は何かを振り回していたという。何のことで言い争っていたかは分からなくて、巻き込まれるのも面倒だと感じ、自分たちはその場を離れていったという事だった。
「……じゃあ、その場にいたのは男か……」
サザワ刑事が聞いた話を伝えると、モトキ警部がそう口を開く。
「とりあえず、言い争っていた男が誰かを聞き込みで調べてみましょう」
「そうだな」
サザワ刑事の言葉にモトキ警部がそう応える。
そして、モトキ警部とサザワ刑事はシマノの事件と今回の事件を同時に調べる事になった。
***
「……遠くまで来ちゃったね」
電車に揺られながらユウとマリアがやってきた場所は、静かな町だった。
電車に揺られている間、ユウとマリアは寄り添いながらどちらとも口を開かずにいた。しかし、お互いの手は離れることがないようにしっかりと握ったまま、何度も電車を乗り換えて、この地にやって来た。
改札を出て、どこか身体を休ませる場所がないかを探すために、その町を当てもなくブラブラと歩きだす。
「見つからないね……」
閑散とした場所だからなのか、身体を休ませることが出来るような場所が見つからなくて、ユウがそう口を開く。
その街の奥まったところに入ったりして、どこか体を休めるような場所がないかを探してみる。
その時だった。
「……ねぇ、これ……」




