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罪の銀翼  作者: 富嶽 ゆうき
第四章 Allies激動
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蓮二とシュトラーフェ

 

 今回の作戦で、シュトラーフェの出番はない。圧倒的な個人戦闘能力を使う場面が無いのだ。ステルス機能は使いたいところであったが、不可欠ではないという判断だ。それでも、予備兵力として待機を命じられてはいる。

 つまりは「たまには休め」という事だろう。西馬の計らいだった。

 Allies創設以来、いや、それ以前から全ての戦いに参加してきたシュトラーフェと蓮二。二人はAlliesきっての功労者と言える。


 なのだが、本人達は前線に出られないことがご不満のようだ。シュトラーフェは、椅子の背もたれにしがみつくように座っている。蓮二は所在無げに部屋をウロウロしていた。

 ちなみに、シュトラーフェと蓮二のベッドは離れて設置されている。くっつけなどしたら結と守が黙っていない。

「なあ、西馬さんには話しとくか、あれ」

 唐突に蓮二が喋り出す。

「あれとは?」

「シュトラーフェが人になれること」

「蓮二に一存しよう」

「考えるのが面倒だから俺に投げるってことか」

「そういうことだ」

 蓮二はハアとため息をついた。

「言い切るなよ……まあいいけどさ」

 そう言うと、作戦の指揮を執っている西馬のもとへ歩いて行った。


「さて……」

 シュトラーフェは椅子から立ち上がり、あたりを見回す。机が目に留まったのか、そばに寄って行き、引き出しを開けた。ゴソゴソと中を漁る。

「特に面白いものはないのか」

 残念そうに息を吐いた。

 その後、あらゆる場所を漁り、終わる度にため息をつく。

「……親の写真はやはり持っていないか」

 前々から気になっていたことがあった。

 以前、彼は家族を戦争によって亡くしたと言っていた。その事を、シュトラーフェに初めて出会った時思い出し、やると決めたと。


 ――家族を亡くしたことを、思い出した。


 では、なぜそれまで忘れていたのか。

 記憶喪失などではない。自分の名前や多少の経歴は覚えているのだから。

 都合良く家族に関しての記憶だけ消えることなどあるのだろうか。単に意識していなかったのであれば、"思い出す"などという表現は使わないはずである。


 シュトラーフェは疑っていた。

 自分が覚えていた最初のやるべきこと「蓮二に会い、従う」というのと、関係があるのではないだろうかと。自分にも記憶が無く、使命の対象にも記憶の欠落がある。

 これが無関係と言えようか。


 顎に手を当てて考えていると、蓮二が帰ってきた。

「どうかしたのか?」

「いいや、なんでもないさ」



  * * *



 一方、作戦にあたって護衛任務を遂行している結と守の二人である。

 二人の機体には電波を吸収する塗装が施されており、シュトラーフェほどではないもののレーダーには映りにくい。周囲までステルス化出来てしまうシュトラーフェが特異なのであって、二機が一般的に劣るかというとそうではない。


 護衛対象は、潜水艦一隻とVTOL(垂直離着陸)機が二機だ。前者は旧シンガポール海軍のものであり、後者は旧ベトナム空軍が所有していたものである。

 この度のAllies再編成によって、各国軍の全てはAlliesに統合された。とは言っても、派遣部隊という体裁で各国軍は自国に駐屯している。国土防衛が必要になった際、遅れが生じるようなことはあってはならないからだ。


 潜水艦に乗れるだけの人員は全て移乗し、乗れなかった人はVTOL輸送機に乗せる。現在はその作業の真っ最中であった。

 夜間作業であるため、多少の能率低下は避けられない。だが、それ以上に隠密性が必要だった。視界に映らないというだけでかなりの効果があるのだ。電波探信儀だけで、手に取るように理解するのは難しい。


 上空で警戒に当たる桜花と風花。闇夜に紛れる赤と青は気味の悪さを醸し出している。月明かりも星明かりもない闇。常に警戒態勢は敷いているものの、何が出てくるかわからないような、何かにまとわりつかれるような恐怖心を覚える。


 その時、二機のレーダー範囲へ侵入するものがあった。二人は同時に捉え、確認する。

 まず先んじて、地上の作戦部隊に通達。作業を急がせる。

 次に、超長波通信によってヒマラヤ山脈にあるAllies本部へ報告する。指示を仰いだ。

 オペレーターより返答。

『おそらく夜間警戒の偵察機です。こちらが発見されない限り、手出しはしないように』

「「了解」」

 空中で息を潜め、出力を限界まで絞る。

 戦力差があるとは言え、見つかるのは避けたい。現在最低限の戦力で出撃しており、数が現れると防衛に支障が出る。かと言って、これ以上増やすわけにもいかない。

 それでは護衛など居ない方がいいのではないか、と思うかもしれないが、それでは作戦部隊の負担があまりにも大きすぎるのだ。


 ジリジリと近づいてくる敵偵察機。レーダースクリーンを、ゆっくりとこちらへ向かってくる三つの点を二人は注視する。

 被探知を感知すると、ブザーが鳴るようになっているが、二人は心配でならない。

 我慢の時間だ。

最近は買うラノベが多くてお金がどんどん減っていきます。辛いです。

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