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罪の銀翼  作者: 富嶽 ゆうき
第三章 Allies
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アジアの起立 展開

 

 まず中国軍駐屯地を襲ったのは爆撃機だ。これまた年代物の旧式。だが今回はそれで十分。もちろん墜とされる可能性が上がるが、そのためのシュトラーフェである。


 250kg無誘導爆弾は無事に機体から切り離され、弧を描くようにして目標へと落ちていく。

 着弾。

 敵指揮拠点を破壊した。




「チェンマイ基地、マンダレー基地、共に爆撃完了」

「ダッカ、カトマンズも同様。被害はなし」

 次々と情報が寄せられ、西馬のもとに集められる。上手く行っているようだった。

「まずは一安心か」

「ですね」

 西馬と索はため息をついた。


「第七小隊、敵戦闘機及び拡張戦術機に遭遇、攻撃を断念!」

 そこへ、一際大きな声が響いた。

「第八、第十も同じ!」

「第十一もです!」

 他からも同じような報告が上がる。

「どういうことだ?」

 西馬は自分に問うように呟いた。

「察知されていたのでしょうか」

「なんにしてもまずいな、今はなるべく兵力を失いたくはない」

 一瞬考え込み、すぐに口を開く。

「攻撃に失敗した基地へは伊上隊と暮那隊を向かわせろ。補完には予備部隊を回せ」

「了解!」

 言い終わると同時に、西馬は机の画面に地図を出す。現在の部隊配置や、目標を一覧できるものだ。

「反撃を受けたのは第七から第十一ですから……」

 索は独り言を言いながら画面に情報を反映させていく。西馬はある事に気がついた。

「近いな」

「ええ、近いですね」

 爆撃を断念した基地がある国は、どこも中国から近い距離にあったのだ。

「本国の差し金か。古臭い中央集権国家でこんな柔軟に対応できるとは思わなんだ」

「通信を辿らせますか?」

「頼む」

 西馬は考える目だ。

「……一つ、心当たりがあります」

 不意に索が語り出す。

「この手の回し方は、おそらく私の弟です」



  * * *



『第一種戦闘用意!』

「了解」

 守は来る指示に耳を傾ける。守の名前を冠した部隊だが、指示は歴戦の旧日本軍兵士が執っている。さすがに守や結には重荷なのだ。

「敵影捕捉!」

 守のレーダーがいち早く敵の姿を捉える。

『二列縦隊で突撃!』

 隊長の声で全員が一斉に隊列を組む。先頭は守だ。新鋭機である風花を前面に押し立て、優位を得る。


 迎え撃つは迎撃に上がっていた戦闘機及び中国軍の拡張戦術機、百十五式だ。もともと陸戦用だった機体だが、技術を輸入し製作された翼機構を搭載したことで飛行が可能となった。

 何拍か遅れてこちらの存在に気づいたようだ。周囲を旋回していた敵戦闘機は高空へ展開。百十五式は突貫を受け止める構えを見せる。


 ここに、Alliesにおける初めての空戦が始まった。



  * * *



 その頃、両軍が対峙するはるか上空。

 シュトラーフェは漂っていた。

 敵基地一つの撹乱を終えた後、"司令部から支援の要請があるまで待機"という命令を受けていたからだ。初戦だけはなるべくシュトラーフェに頼らずに勝ちたい、という思惑があるのかもしれないが、蓮二にとっては不満でしかなかった。

「なあ蓮二」

「どうした」

「暇だ」

「奇遇だな。俺もだ」

 そんなやりとりを何度繰り返しただろうか。その時だ。

「おい蓮二」

「奇遇だな。俺も――」

「凄い数の機が南進している」

 蓮二が言うのを遮るようにしてシュトラーフェは言った。蓮二はコックピットに坐り直す。

「所属と目的は!?」

 自然と声が大きくなった。

「推測の域を出ないが、中国本土の部隊だろう。行き先はおそらくAllies部隊のどれか」

「……出てきたのか、クソッ」

 蓮二は危機感を覚え、思わず悪態をついた。

 このまま奴らの南進を許し、Alliesの部隊誰かと接触すれば、間違いなくこちら側が不利となる。桜花や風花のスペックでも、そこまでの数は難しいだろう。


「命令は……来てないのかよ!」

 司令室の対応の遅さにイライラする蓮二。だが仕方ないだろう。彼らのレーダーではまだ捕捉できていない。シュトラーフェのレーダー性能だからこそ捉えられたものだ。

「行くぞ、シュトラーフェ」

「待て」

 耐えきれず、勇んで早く行こうとする蓮二をシュトラーフェは止めた。

「なんだ」

「軍規違反だ」


 兵士と言うのは、命令があるからこそ軍という形でいられる。命令に背けることは、すなわち戦いから逃げ出せることを意味するからだ。

 兵役とは、命を賭ける仕事である。

 一度賭けた以上、戦場で引くことは許されない。


「少しは落ち着け。集団の移動速度からしてまだ猶予はある」

「あ、ああ……」

 思えば、シュトラーフェの圧倒的な性能を以ってして負ける相手はほぼいない。初めての作戦に則った集団戦闘。責任感が過剰だったのだろうか、気が動転してしまった。

 蓮二は深呼吸をする。

「落ち着いたか」

「大丈夫だ。悪いな」

「構わないさ」

 シュトラーフェは薄く笑った。

 蓮二は無線を司令室へ繋ぐ。

「こちら播磨。中国方面から南進する部隊を捕捉。指示を請う」

『了解。……今別の隊からも情報が入ってきた。一人で大丈夫か?』

「大丈夫です」

『わかった。よろしく頼む』

 蓮二は通信を切る。

「ということで、行くか」

「そうだな」

遅くなりました。

時々後からサブタイトルを変えたりするので把握お願いします。

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