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罪の銀翼  作者: 富嶽 ゆうき
第二章 決別 敵と味方
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東京湾航空戦 三編 第三軍

 

 彼らが現れたのは東京方面からであった。五十を優に超える月光の集団はシュトラーフェに殺到していた第四師団の側面を奇襲。

 搭乗員にダメージを与えないように気を回しつつ、虚をつかれた月光を叩き落としていく。

「逆賊か!」

「痴れ者共、死ね!」

 人に被害を与えまいが、襲われている本人達にとって、そんなことは関係ない。

 戦場は一瞬にして混乱の渦に飲み込まれた。

 第四師団は同士討ちだけは避けられているものの、反撃は要領を得ない。敵味方の区別に苦労しているようだ。

 一方、突然現れた集団はなんのためらいもなく第四師団所属機のみを攻撃していく。事前に計画がなされていたのだろう。順当に戦力を減らしていく。

 一人一人の手腕では第四師団に遅れを取っているものの、彼らは練られた戦術通りの動きで圧倒した。



  * * *



 蓮二は唖然としていた。

 いきなり増援が現れたと思ったらそれらが同士討ちし始めたのだから当然である。

「よくわからないけど、好機なのか」

 追いすがる月光をなんとか躱しながら、頭の中で状況を整理しつつ呟いた。これならばなんとかできるかもしれない。

 気を引き締め直し、改めて操縦桿を握る。

「……敵の敵から通信が入った」

 そう思い始めた途端、シュトラーフェから爆弾が落とされた。敵の敵、すなわち第四師団を襲った月光の集団である。

「受けてみるか」

 数秒のノイズの後、声が聞こえてくる。


「また会ったな」


 ――それは、もう聞くことはないと思っていた、大切な友達の声。

 守の声だ。

「守か……!」

「そう、お前の大好きな守さんだ」

「お前が、助けてくれたんだな」

 蓮二の声に嗚咽が混じり始める。

「俺だけじゃないけどな。……まだ終わってないんだ。泣くなよ」

「……おう」

「それじゃ、また後でな」

 守の声を最後に通信は切れた。


 蓮二は涙を堪えながら力強く笑った。

「シュトラーフェ」

「ん?」

「……頑張るよ」

 シュトラーフェは薄く笑う。

「頑張ったところでどうにかなるかはわからないけど、まあ、頑張れ」

「手厳しいな」

「ゆるゆる甘々よりはマシだろう?」

 そう言って彼女はさらに楽しげに笑った。

「そうかもな」

 釣られて蓮二も笑った。



  * * *



 ひとまず蓮二は目の前の敵に専念する。

 指揮官機ともう一機は援護に向かったようだ。

「……よし!」

 目の前にいるのはたった一機。それも、指揮官機ではない。

 ならば、やるしかない。


「なるほど、こいつがあいつらの頭ってわけね。シュトラーフェだかなんだか知らないが……」

 大地は呟く。三日月の(やいば)を携え、自らの愛機を前へと進める。

「敵なら、叩き斬るだけだ」


「来るぞ、大丈夫か蓮二」

 一つ、大きく深呼吸をする。

「ああ。今度は勝つ」

 持っていた直剣を正面に構える。剣道で言う正眼の構えである。どこから打ち込まれても合わせられるその構えは、蓮二の意思の表れだろうか。

 ゴクリと鳴る蓮二の喉。


 次第に近づく両者。


 二人の間合いが重なる。


 ここが蓮二の正念場だ。

守の株が爆上げで制御するのがなかなか難しいです。

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