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罪の銀翼  作者: 富嶽 ゆうき
第二章 決別 敵と味方
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接触

 

 二人は雲の上を飛んでいた。探知される心配はない。シュトラーフェの機能、エリアステルスを使っているからだ。

 空気中の磁場や電場に干渉することで、レーダー波を拡散させている。便利なものだ。もちろんONとOFFの切り替えも可能で、敵を威圧などする時はわざわざレーダーに自らの姿を映す。


「そういえばさ、どこ行くつもりなの?」

 涙も止まり、完全に復活した結が尋ねてきた。

「一応廃墟を拠点にするつもりだったんだけど、甘かったかな」

「甘いと思うな〜」

 なかなかズバッと言う奴である。蓮二は苦笑いした。

「ちょっといいかな。極超長波をキャッチした。内容から察するにこちらに接触を試みている。発信者は不明だ」

 シュトラーフェが突然そう言ってきた。慌てていないと言うことは、日本軍の科学力では受信できない程の長波なのだろう。発信者はシュトラーフェの能力を理解しているようにも思えた。

「発信源に行ってみるか。……結、予定変更だ。付いてきてくれ」

 蓮二は自信があった。誰にも負けないと言う自信が。それがこの大胆な行動に起因しているようだ。

「蓮二の機って女の子なの……?どういうこと……?」

 結はと言うと、完全に一人の世界へ没入していた。頭を抱えて独り言をぶつぶつと、まるで何かに取り憑かれたようである。

「結さーん。聞こえてますかー」

「へっ!?あ、うん、聞こえてるよ!……なんだっけ」

 聞こえてないじゃないか、と蓮二は頭の中で突っ込んだ。流石に口には出さない。あとが怖いのである。

「よくわからない電波をキャッチしてな。こっちに会いたがってるようだから今から向かう。付いてきてくれ」

「了解しました、隊長どの!」

 ――蓮二は思わずため息をついた。



  * * *



 電波を辿ると、廃墟群が目の前に現れた。

 あたりに人が住む場所はなく、ただ荒れた、街だったものがそこにあった。

「この辺りだったが、どこだろ」

 レーダーにもそれと(おぼ)しき反応はない。二人は周囲をきょろきょろと見回すが、特には何も無い。

 その時再び通信が入る。

 今度は出力が絞られ、音声会話が出来るほどの波長のものだった。

「それがシュトラーフェかね。噂はかねがね聞いている。私達は君達に協力しようと思っているんだ。話だけでも聞いてみないか」

 低い、落ち着いた声が聞こえてきた。シュトラーフェを判別したと言うことは、こちらの情報はある程度持っているようだ。それに、こちら側を監視できる何かが設置されている。

「わかった。案内してくれ」

 蓮二は特に悩まずに言葉を返す。シュトラーフェが遅れをとることなど無いと確信しているからだ。

 すると、地響きのような音と共に、廃都市の道路の一部が沈んだ。それは地下からの滑走路のように傾き、地下への入り口をぽっかりと開ける。

 ――二機は、食虫植物に吸い寄せられるようにその穴へと入った。



  * * *



 コンクリートで固めらた通路。拡張戦術機が通るには十分な大きさだ。無機質な明かりが二機を歓迎する。

 二人は念のため、いつでも反撃できるよう武装をすぐに使える姿勢をとりながら進む。わざわざ武器を構えずにそれを選んだのは、こちら側から敵対する意思はない事を示すためだ。どこから見られているかわからない。


 しばらく行くと、開けた場所に出た。中は格納庫のような様相である。壁際には、見たこともないような拡張戦術機が並んでいる。

 全てここで開発されたものなのだろうか。

「すごいね、ここ」

 結は感嘆の声をあげていた。

「まるで工廠だ」

「それで正解だと思うよ」

 そんな話をしていると、入り口から人影が現れた。二十代の女性と言ったところだろうか。長めの茶髪のポニーテールに日本人らしい顔立ちだ。

「お待ちしておりました。播磨蓮二さんに、暮那結さんですね」

 どうやらこちらの名前は両方とも割れているらしい。その情報力に蓮二は下を巻く。

 その女性は恭しくこうべを垂れ、笑顔を作っている。結にはどうにも作り笑いに見えた。

「どうも」

 蓮二は冷静に、表情を変えずに返答し、シュトラーフェを降りた。そして、その女性の元へ歩みを進める。結もそれに追随した。

「では、付いてきてください」

 そう言うと踵を返し、二人を先導するように廊下を歩き出した

 蓮二と結はその女性を追った。

シュトラーフェの中二的性能が披露されていってます少し恥ずかしさを覚えます、

ただかっこいいと思っていただければこれ幸い。


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