第三話 追放勇者
やれやれ、俺は馬車に乗せられて移動中だ。
荷物置き場で、縄にグルグル巻きにされた簀巻き状態。
どうやら、このまま国境まで連れて行かれるようだ。
なんてこった。
馬車に揺られながら景色を眺めていると、行き交う人はうさぎばかり。
大きさは、だいたい100から120センチ。
よく分からんが、人間で言う幼稚園児くらいか?
どうやら、この国はうさぎの国のようだ。
しばらくすると馬車が止まり、俺は四人がかりで荷台から降ろされた。
「やっとご到着か」
「ここで降りてもらう」
「二度と我が国に来るなよ」
「へいへい」
縄をほどかれ、うさぎの兵士たちは背を向けて馬車へ戻っていく。
そこで、俺の腹が鳴った。
グゥ~……。
「腹減ったな」
あいつら、何も食わせてくれなかったし。
そういえば、うさぎって食えるよな。
あいつらも見た目は少し違うが、うさぎには違いない。
俺の灰色の頭脳が閃いた。
あれ、食えばいいんじゃね?
そうと思えば即実行。
奴らが油断している隙に、全力で駆け寄り、まずは一人を蹴り飛ばす。
「そいや!」
「なにっ!?」
驚いている隙に、その横の奴も蹴り飛ばす。
「何をする!」
あと二人。
慌てて対応しようとするが、もう遅い。
一人を殴り飛ばし、剣を抜こうとしたもう一人にも蹴りを入れる。
まだ生きているようだが、時すでに遅し。
落ちていた剣を拾い、順番にトドメを刺していく。
「思ったよりあっさりだな」
最初に暴れた時にも思ったが、やっぱ体格差はデカいよな。
「ハハハハ!」
俺は高笑いした。
とりあえず、馬車に載せて移動するか。
安全そうなところで、戦利品の確認と食事にしよう。
兵士の死体を馬車に載せ、隠れられそうな森へ移動した。
まずは戦利品の確認だな。
「剣が四本に、食料も数日分はあるか」
剣を一本手に取る。
両手剣のようだが、俺には少し大きなナイフくらいのサイズだな。
小さいが、野営用の道具もある。
金もないし、当分はここで過ごすか。
一応、馬車には幌があるから雨風も凌げるだろう。
「とりあえず、腹減った」
火を起こして焼くか。
そこら辺から薪になりそうな枝をかき集め、なんとか火を起こす。
そして、うさぎを焼いた。
「うん。鶏肉と豚肉を合わせたような味だな。悪くない」
俺は焼いたうさぎを頬張りながら、これからどうしようかと思案する。
「そうだなー」
うさぎ共は、あまり強くない。
しばらくここで奴らを狩りながら生活するか。
金と肉が手に入る。
一石二鳥だな!
うさぎだけど!
「ハハハハ!」
我ながら上手いことを言った。
それに、あのうさぎ王もクソムカつく。
俺を国外追放なんかしやがって。
勇者である俺を追い出したことを、後悔させてやらないとな。
「仕返ししてやるよ」
そうじゃないと、こっちの気が収まらない。
俺は残った肉にかぶりついた。
この時。
俺の中で何かが、ほんの少しだけ変わった。
だが、そんなことに気付くはずもない。
俺は勇者なのだから。




