第二話 勇者
俺の名は災賀翔、15歳。
この春、高校生になったばかりだ。
夏休みに入り、深夜のコンビニへ食料調達へ行くところだ。
ただ、歩いて行くのは時間の無駄だ。
俺はスマホを取り出し、読みかけのWEB小説を見ながら行くことにした。
WEB小説のタイトルは『世界のすべては俺のモノ!異世界に召喚された俺は世界のあらゆるモノを手に入れハーレム作って人生を楽しく過ごす!邪魔するヤツは俺のチートが火を噴くぜ!』だ。
この小説は俺の心のバイブル。
こんな楽な世界に行きたいものだ。
ながらスマホだが、視界の隅に赤いものが見える。
「チッ、赤信号か。こんな深夜、車なんか来ねーよ」
俺は構わず、進んだ。
そこに一台のトラックが走ってきた。
クラクションを鳴らされる。
「クソが!」
俺はムカついたので、ちょこっと当たったフリをして、慰謝料をふんだくってやろうとギリギリを狙って避けようとする。
当たらなくても警察に通報してやるよ!
俺はニヤリと笑い、ギリギリのところで身をかわそうとした。
だが、その瞬間。
足を捻った。
「あ」
そのまま、トラックの真正面へ転がり込む。
運転手は悲壮な表情をしている。
あ、これはダメなやつだ。
と、その時、俺は悟った。
でも、これって異世界行けるんじゃね?
◇
気が付くと、白い部屋にいた。
周りを見渡すが、俺一人のようだ。
誰もいない。
探すか。
「おい、誰か居ないのか!」
「おい!」
誰も答えない。
仕方ない。
要望を伝えよう。
叶ったら儲けものだしな。
「俺は異世界に行きたい。職業は勇者にしろ。勇者召喚されてチヤホヤされたい。ハーレム作りたい。チートを寄越せ」
しばらくすると、呆れたような声がボソボソと聞こえてきた。
『……元の世界と違う場所へ……勇者として送る……』
◇
声が聞こえたと思えば、何故か白い通路に立っていた。
通路はどこかの教会のようで、荘厳華麗な造りをしていた。
周りを見渡していると、声を掛けられた。
「貴様は何者だ!」
「侵入者だ! 誰か!」
声の方を見るとうさぎだ。
話すうさぎ。
気持ち悪いな!
「うさぎの分際で人間様に話しかけるな!」
「召喚したなら、出迎えがあって然るべきだろ!」
「責任者を出せ!」
そうまくし立てていると、周囲をうさぎに囲まれた。
鬱陶しいので、手頃な奴から蹴り飛ばした。
「邪魔だ! どけ! 責任者を出せ!」
蹴り飛ばしても、蹴り飛ばしても、後から後からうさぎが湧いてくる。
素手だったうさぎ共も、何やら剣やら盾やら槍やらを持ち出してきた。
そうこうしているうちに囲まれ、一斉に飛びかかられ、縄を掛けられた。
「ちくしょう! 離せ!」
「黙れ! これから王に謁見させる。無礼なことはするなよ」
そして、俺は謁見の間に連行された。




