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第9話 エマと給料日 ①


やっほー長門ちゃんでーす!!!

頑張って書いてるから応援!よろしくなぁ!


【エマと給料日 ①】


荒れ狂う日本海側を走り抜け久しぶりに母港へ帰港した俺たちは極寒の中ガソリンスタンドで塩カルと泥を落とすために洗車をしていた…


『まぁったく!こんな寒いのに洗車しないと落ち着かなくなっているのは誰かさんの陰謀ね!酷だわぁ!』


エマは、そう言いながらも手を緩めることはなく黙々と洗車している。


「まぁ…仕方ないだろう…寒かったら別に家に居ていいんだぞ?」


『そうはいきませんわ!このトラックは私の居場所でありますもの!』


「ありがとうな…そうだ洗車が終わったらなんか行きたいとこあるか?欲しいものがあれば買いに行こうか」


『…なんですの?急に…』


「あれ言ってなかったか今日給料日だぞ?」


『聞いてませんわ!知っていたらあの肉まん我慢せずにすみましたのに!!』


「すまん…」


雑談しながら数時間徹底的に洗車をした俺達はエマの要望からある物を見にとある場所へ来ていた。


「なぁ…本当にいいのか?いや確かに欲しいものを言えとは言ったがな…」


『絶対に!これが欲しいですの!』


「うーん…」


何故今そこまで俺が悩んでいるかと言うと…洗車中のひょんな一言から


『なら!うんてんめんきょ?なるのもが欲しいですわ!』


「うーん…そう来たか…」


『達吉さんも持ってるじゃないですの何かいけませんの?』


「わかったちょっと考える…」


そして…現在、トラックから乗用車へと乗り換え近所の教習所へと訪れていた。


「言っとくけど簡単に手に入るものじゃないぞ?法律とか運転とか勉強しないとダメなんだ」


『私は欲しいんですの!!』


「とりあえず聞いてみるから待っててよ」


俺は、ため息をつきながら教習所の受付カウンターへと向かった。


エマは、俺の少し後ろで興味津々といった様子で受付のきれいな女性職員と、ロビーに置かれたドライブシミュレーターを交互に見つめている。


「すみません、免許の取得についてお聞きしたいんですが」


そう声をかけると、受付の女性が笑顔でパンフレットを取り出した。


「はい、ありがとうございます! 現在ですと、うちは原付から大型まで対応しております!AT限定かMTかでお選びいただけますが、どちらをご希望でしょうか?」


「いや〜申し込む前に一つ確認したくて……実は、この子の手続きなんですけど」


俺が指さした先で、エマは目を輝かやかせニコニコしている。


『エマ・サングランドですわ! この『うんてんめんきょ』を取得しに参りましたの!』


カウンターに爽やかな沈黙が流れた。

受付の女性は一瞬だけ目を丸くしたものの、すぐに営業スマイルを取り戻して俺を見た。


「えっと……お連れ様は、外国人の方でしょうか? 教習の受講自体は日本語の読み書きと日常会話ができれば問題ございませんが、ご入校の手続きには通常通りご本人様の身分証明書が必要になります」


「身分証明書、ですか」


「はい。住民票の写し 、マイナンバーカードや在留カード、もしくはパスポートのご提示をお願いしております」


その言葉を聞いた瞬間、俺は頭を抱えた。


(そうだった……! こいつ?都合上、戸籍も住民票もパスポートすら存在しねぇんだ……)


『みぶんしょうめいしょ……? それは、我が家の紋章が入ったペンダントではダメなのですか?』


胸元から大事そうに光る首飾りを取り出してみせるエマ。


受付の女性は困惑したように苦笑いを浮かべた。


「あ、あはは……素敵なペンダントですね。ですが申し訳ございません、公的な公文書でないと受付ができかねまして……」


「……ですよね。すみません、また用意でき次第出直します」


俺は半ば強引にエマの肩を抱き寄せ、教習所の自動ドアを出て駐車場へと連れ出した。


乗用車の助手席に押し込まれたエマは、不満たらたらといった顔で頬を膨らませた。


『なんなのですか! 私はちゃんと勉強も訓練も受ける覚悟がありますのに! なぜ門前払いにされなければなりませんの!?』


「この国で免許を取るには、自分が何者かを証明する法律上の書類が必要なんだ。今のところお前には、それがあるにはあるんだが…ねぇ?」


『書類……? そんなの要りますの?私は確かにここに存在しておりますのに!?』


「そのまま書類作れる行政があるなら俺が教えてほしいわ!」


俺が車を出して国道へ合流すると、エマは窓の外を眺めながら、しょんぼりと肩を落とした。新しいスニーカーを履いたつま先が、所在なさげに小さく揺れている。


『むぅ…私は、あなたと同じ景色を見たくて……あなたのように、あの大きなトラックを自由に操って、一緒に走りたかっただけですのに……』


小さく呟かれたその本音に、俺はハンドルを握る手に少しだけ力を込めた。


「……免許は今日は無理でもどうにかしてやるから!今日はエマの初の給料日なんだぞ?」


『……え?』


「お祝いに欲しいものを買おうって言ったのは俺だ。別の『欲しいもの』がある所に行くぞ」


俺は車を走らせて近所にあるうちの会社の予備車置き場へと向かった。


「本当は明日はやろうとしてたんだがお前が拗ねてるからしょうがない…あれをくれてやるから機嫌直せ」


予備車置き場へ着くと普段乗っているのと同じ型の大型トラックが1台に新しい型の大型トラックが1台、中型トラックが1台、端っこに2トントラックが目に入る。


『なんですのここは?これも全部達吉さんのトラックですの!?』


「あぁそうだ…今日はあのトラックを家へ持ってく」


そういい俺は現行の1個前の型の大型トラックを指さす


『いつも乗ってるのはどうするのです?』


「あれは冬の間はあんまり乗らないんだダメになっちゃうからな」


『そうなんですの…寂しくなりますわね…』


「まぁ、そうは言っても少ししたらいつものに乗るんだけどな」


『意味がわかりませんわ??』


俺は、トラックの鍵をエマに渡して運転席に座らせる


『な、なんで私がこっちに座るんですの!?』


「俺がいいって言ったらいつも俺がしてるみたいに鍵を回してエンジンを掛けてくれ」


そういい戸惑うエマを無視して俺は車のバッテリーとトラックバッテリーをブースターケーブルで繋ぐ


「いいぞー」


いいと伝えるとエマは難なくエンジン掛けた。


『掛かりましたわ!?』


「おっけー!そしたら線を外すからそのまま待っててくれ!」


俺はブースターケーブルを外しトランクへ仕舞って助手席へと飛び乗る。


「よし!じゃあとりあえず少し動かしてみるか」


『???私が動かすのです?』


「ん?そうだが?敷地から出たら不味いから今日はとりあえず少し前に出してみるか」


エマに発進の仕方を教える事数分


『こう……ですの……?』


エマは、恐ろ恐るクラッチペダルを踏み込み、教えられた通りにギアレバーを「一速」の位置へと入れた。ガツン、と手応えが手に伝わり、彼女の肩がビクッと跳ねる。


「そうだ、上手いぞ。次は左手でサイドブレーキのレバーをグッと握って、先端のボタンを押しながら下まで完全に押し下げるんだ」


『こ、この棒状のレバーですわね……! んっ、硬いですわ……!』


エマは両手でサイドブレーキレバーを握り締め、フンッと力を込めてボタンを押し込みながら下へと解除した。カチッと金属音が響き、ロックが外れる。


「よし、解除できたな。そのまま、右足でアクセルをほんの少しだけ踏みながら、左足をゆっくりゆっくり戻していけ。急に放すとエンストするからな」


『く、暗記した呪文のようですわ……! ゆ、ゆっくり……ゆっくり……』


真剣そのものの表情で、エマは前方を鋭い目つきで見つめた。水晶のような瞳が、真心のこもった緊張感で揺れている。


V8のエンジン音が「ズドドン……」と重低音を響かせ、巨大な車体がゆっくりと前に動き出した。


『う、動きましたわ! 動いていますわ達吉さん!!』


「おー! 動いた動いた! いいぞエマ!」


『すごいですわ! 私が……私がこの鉄の巨獣を動かしていますのね!!』


エマの顔に、パッと眩しいほどの笑顔が咲いた。さっきまで教習所でしょんぼりしていたのが嘘のように、爛々と目を輝かせている。


「よし、じゃあアクセルから足を離してブレーキ踏んでクラッチを踏め! 止まるぞ!」


『はいっ!』


指示通りに踏み込むと、エアブレーキの

「プシューッ!」という威勢の良い排気音とともに、トラックは滑らかに停車した。


わずか数メートル前進しただけだが、エマにとっては前人未到の大偉業を成し遂げたかのような達成感だったらしい。ハンドルをギュッと握りしめたまま、興奮冷めやらぬ様子で荒い息を吐いている。


『はぁ……はぁ……! 凄いですわ……! 馬車とは全く違う、この全身に響くような力強さ……!』


「だろ? お前、筋がいいぞ。クラッチの繋ぎ方なんて、初めてで中々できるもんじゃいぞ?上出来だ!」


俺が頭をぽんぽんと撫でてやると、エマは一瞬ハッとしたように顔を赤らめ、すぐに誇らしげに胸を張った。


『ふふん! 私ですのよ? この程度のからくり、扱えて当然ですわ!』


「はいはい、お見それしました。」


俺は、助手席の窓枠に肘をかけ、運転席ではしゃぐエマを見つめていた。



読んでくれてありがと!

出来れば評価と感想をおしえてくれ!そしたら次の話をかく励みになるからよろしくぅ!

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