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第7話 季節の変わりとエマ


【季節の変わり目とエマ】


何日か過ぎ、助っ人として手伝っていた、えさ屋の仕事も落ち着いたので母港へ戻ることになったエマと達吉。


したがって今日の道程は、四国方面から東北方面へと向かうルートだ。


四国をから脱出し日本海側へ向けて山間部に入るにつれ、トラックのフロントガラスに舞い落ちる雪の量が増え、高速道路のチェーン規制の電光案内板が多くなり長いトンネルを抜けるとあっという間に一面の銀世界が広がっていく。


「エマ、お前がこっちに来てからもうすぐ一ヶ月が過ぎるもう冬の季節だ冬の日本海側は雪が降る。トラックには雪道に強いスタッドレスタイヤは履いてるが、路面が凍ってる可能性も大いにある慎重に走る事を覚えておけ」


『……もうそんなに長く貴方の傍にいるのね…しかも!これがこちらの世界の『雪』なのですのね……!』


助手席のエマは、モコモコとした暖かい襟のドカジャンに身を包み、目を丸くして窓の外の雪景色を見つめている。


エマの生まれ故郷の領地は温暖だったため、これほど一面に広がる真っ白な雪景色を見るのは久方ぶりのことだった。


「寒くないか? ヒーター強めにするか?」


『いいえ、とっても温かいですわ! トラックの中はまるでお部屋の暖炉の前にいるみたいに快適ですわ』


エマは、コンビニで買った温かい緑茶のペットボトルを両手で包み込みながら、嬉しそうに微笑んだ。


昼前に出たが帰り荷を積んだりして帰路に着くと夜が深まってきた。

雪は本格的な吹雪となり、視界を白く染めていく。俺はいつも以上に真剣な面持ちでハンドルをしっかり握り締め、慎重にアクセルとブレーキをコントロールした。


『……大丈夫ですの?』


「おう、焦らなきゃ平気だ。長年この仕事やっててもこの路面は緊張するぞ……まぁ無理せず次のSAで飯がてら休憩を入れるとするか」


ちょうど高速道路の山道を抜けたところにある広いSAにトラックを停めた。周囲には同じように吹雪を避けて避難してきた大型トラックや乗用車が数台停まっている。


何とか空いてる駐車場を見つけトラックを停めて外に出ると雪が音を吸収しSAで聞こえるのは車のアイドリングの音と走り去る車の音ぐらいで他の音はなくシンと静まり返った世界が広がり氷点下の冷気が肌を刺す。


「ひゃああっ! 寒いですわーっ!」


エマは身を縮こまらせながら、俺の服の後ろをキュッと掴み転ばないようにして建物の中へと入った。


館内に入ると、暖房の温もりと美味しそうなダシの香りが二人を包み込んだ。食堂の券売機で券を買い、俺たちが注文したのはご当地グルメの人気メニューである


「味噌煮込みうどんセット」と「具だくさん豚汁定食」だ。


リモコンがなり、料理を受け取ると、鉄鍋からモコモコとアツアツの湯気が立ち上った。


『まあ……! 良い匂いですわ……!』


「寒い日にはこれが一番効くんだよ。ほら、冷めないうちに食おうぜ」


とんすいに取り分けた熱々のうどんを、エマはフーフーと何度も息を吹きかけて口に運んだ。


『……っ!! あはぁ……っ! 出汁が体に沁みわたりますわ……! うどんもモチモチで、お肉や野菜の旨味が詰まっていて美味ですわ……!』


旨味と味噌が溶け出した熱いおつゆを飲んだ瞬間、エマの頬がぽっと赤く染まり、うっとりとした表情を浮かべた。


「だろ? 寒い日にこうやってあったかい飯を食うのが最高なんだよ!」


ふたりで並んでフーフー言いながら温かいご飯を頬張る。窓の外は吹き荒れる雪嵐だが、暖かな食堂の中で囲む夕食は格別だった。


食後、売店で俺は温かい缶コーヒーとエマはホットミルクを買い、ぬくぬくと温まったトラックのキャビンへ戻ってきた。

満腹になったエマは、暖房の効いた車内でトロンとした眠気眼になっている。


『達吉さん……』


「ん? なんだ?」


エマは薄手の毛布を肩まで引き上げると、助手席で俺の袖口をキュッと小さく引っ張った。


『私……あなたと出会えて、本当によかったですわ。……こんなに寒い夜なのに、心も体も、こんなに温かいなんて……』


「……恥ずかしい事言うなよ!だけどな、俺もだよ。一人で夜道を走るより、お前が助手席で騒いでくれてる方が、ずっと運転も楽しいし寂しくねぇよ」


俺がワシャワシャと頭を撫でてやると、エマは嬉しそうに目を細め、走り出すと少しして安心したようにスースーと規則正しい寝息を立て始めた。


窓の外の雪は静かに降り積もっていく。


明日もまた、道を走り抜けなければならない。けれど、隣にこの愛らしい助手がいる限り退屈はしないと思うのであった。

読んでくれてありがと!

出来れば評価と感想をおしえてくれ!そしたら次の話をかく励みになるからよろしくぅ!

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